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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 203


「鬼瓦君!?どうして君がここに!?
 君は新部隊の教官として現場から一時離れていたのでは!?」
「困っている人あらば、どこからともなく現れてこれを助ける。
 それが正義の味方ってもんでしょう?まぁ、冗談はともかく」

鬼瓦は冗談めかした口調から一転、いよいよ本題を切り出した。

「つきましては部隊の基礎訓練が修了しましたので、その仕上げとして三方町の戦闘に、我が部隊を投入していただきたい」
「・・・っ!?」

その言葉に秋元指令は思わず反応してしまう。
正直言って、鬼瓦の申し出はありがたい。
今の状況ではどんな戦力だってノドから手が出るほどにほしいのだ。
しかし生半可な実力者を死地に送り出すわけにはいかない。
まして鬼瓦の部隊は後にヒーロー協会の大黒柱となる、期待の星なのだ。
いきなりこんな大事件に使用するのは、さすがにためらわれた。

「し、しかし彼らは・・・」
「後に我が協会の主力となるからこそ、今のうちに経験を積ませなければならないのです。
 温室育ちではいざというときの判断力や度胸・根性は身につきませんからね」

鬼瓦はそう言うと、懐から1枚の紙を取り出す。
それはこのヒーロー協会副会長からの辞令であった。
どうやら今回ばかりは鬼瓦と大塔寺の利害が一致したらしい。
秋元指令は何とも複雑な心境で、彼の要求を呑まざるを得なかったのだった。

――――

出撃許可をもらった鬼瓦が現場に向かうべく外に出ると、そこには見慣れた顔が数人待ち構えていた。

「君たち。来ていたのか?」
「とーぜんッスよ、鬼瓦センセイ。
 これだけの大事件、正義の味方としてほっておけるわけないじゃないですか!?」

真っ先に口を開いたのは、見るからに軽い感じの20歳前半くらいの男。
身長は180センチくらいで痩せ型の体型だが、素肌がのぞく顔や手には擦り傷・切り傷の類がびっしりとつけられていた。

「何をガラでもないことを言っているのです、ジャスティス・エクスキューショナー。
 前回のミスを取り戻したくて仕方がないだけでしょう?」
「あぁ?!ケンカ売ってんか、翔影!?」

呆れたようにつぶやくのは、壁に寄りかかる1人の男。
黒縁メガネに黒いスーツ、黒ネクタイとまるで葬式の帰りのようなその男は、片手間に読んでいた文庫本をパタンと閉じると、初めて目の前のチャラ男に顔を向けた。

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