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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 202

おそらくは出ないだろうなと内心愚痴りながら少女、ルシフェルは手に持った深紅の剣、カラミティブレードの具現を解く。
陽炎のように揺らめいたカラミティブレードの形が炎のように掴み所無い形となって消える。
燃焼エネルギーの物質化という離れ業を事もなさげにやってのけるルシフェルの正体は今は明かされるべき時ではないだろう。
だが、ルシフェルが動いた事でアパレントアトムの面々によもや彼女が片付けた二体の怪人の死体を発見されようとは……それがきっかけで啓太と出会うきっかけになろうとは思っても見なかった。

――――

「くそっ!怪人どもめ、好き勝手に暴れまわりおって!」

ここはヒーロー協会極東支部指令室。
そこで三方町での暴動を押さえるべく指示を飛ばす指揮官が忌々しそうに叫んだ。
彼が愚痴をこぼすのも無理はない。
何しろこんな町1つを巻き込むような大事件は、彼が今の役職について以来、初めてのことだった。
今までにも施設を乗っ取ろうとしたテロ行為は何回かあった。
どの事件も迅速な対応と協会の優秀なスタッフである正義の味方たちのおかげで、見事に解決されていた。
それは過去の苦い経験と、悪の組織とヒーロー協会との間で圧倒的な兵力差があるゆえだ。
どんな組織だろうと、世界規模で展開しているヒーロー教会と真っ向から対立できる組織なんて1つの例外を存在しない。
だからこそ生まれた油断。大失態であった。

(ここ最近、あの町の近辺で起こっていた事件はこの伏線だったのか?
 あれだけ事件を起こしておいて、まだこれだけのこと起こすだけの力があるとは・・・!)
「・・・指令ッ!?秋元指令!次の指示を!」
「ハッ!?あ、ああ!わかった!」

思考の無限ループにハマりかけた彼を助けたのは、皮肉にも三方町の被害状況を伝えていた部下の言葉であった。
指揮官はその一言で我に返ると、あわてて次の指示を飛ばした。

(そうだ、今はよけいなことを考えるな。今は事態の収拾だけに力を注ぐんだ・・・!)

とは言え、つぎ込めるだけの兵力はすでにつぎ込んでしまっている。
もちろん正義の味方は他にもいるものの、そのほとんどは担当地域持ちだ。
今、彼らを動かせばこの騒動に参加してない組織にとんでもないチャンスを与えてしまう。
何か・・・何かヤツらを黙らせる、決定的なモノはないか!?
指揮官がそう思ったその時。指令室に見知った顔の男が入ってきた。
その男の名前は鬼瓦。
このヒーロー協会極東支部において、最強とうたわれる男であった。

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