PiPi's World 投稿小説

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 199
 201
の最後へ

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 201

「全く……せっかくの休日が台無しじゃないか」
あっちこっちで戦闘が繰り広げられ、人々が避難して誰も居ない三方町では似つかわしくない少女の姿があった。
普通であれば逃げ遅れた一般の少女と思うが、そうではない。
黒い幅広のつばをした帽子、風になびく長い金髪、透き通るような青い瞳、薄手の黒い長袖……
人一人居ない道をただ散歩でもするように歩く。その少女の傍をワニ型の怪人が吹き飛ばされた勢いで通り過ぎる。
「雑魚がでしゃばるからそういう目に合うんだよ!!」
サイ型の怪人が己の怪力を自慢するかのように叫ぶ。漲る闘志が収まり所を知らずに。
だが、少女はそれすらも無視するかのように通り過ぎようとする。
「貴様ぁ、やりやがったなぁ!!」
今度は鮫型の怪人がサイ型の怪人に襲いかかろうとするが、二体の怪人の間には少女が居た。
「邪魔だぁ、どけぇ!!」
少女を弾き飛ばす算段で突撃するサイ型の怪人。だが、少女は不思議な事に片手を突き出すだけ。
(片手で止める気か?馬鹿が、そのまま壁に貼り付けてやる!!)
サイ型の怪人の突進に少女が弾き飛ばされるかと誰も思った。だが……
「その突撃が自慢のようだが、ただ突っ込むだけなら猪でも出来る……」
文字通り片手でその突進を食い止めていた。微動だせずに……
「な……ぁ?」
あまつさえ、その止めた片手で相手を腹の肉を掴み、持ち上げる。そのまま、サイ型の怪人に襲いかかろうとしていた鮫型の怪人へと投げる。
「ぎゃあっ!!」
「ぐへぇっ!!」
少女がステップを踏むかのように片足で地面を鳴らす。トントン、トントンと。いつの間にか持っていた深紅の剣を。刃から周囲の空気を歪ませる深紅の剣。
「雰囲気すら読めないお前達には……」
少女の姿が揺らめく。消えたように。そして……
「厄災をくれてやろう」
二体の怪人の背後から背を向けたままの少女が外見とは似合わない冷徹な声を発する。その瞬間、二体の怪人が発火する。
何をしたのかと言うと、別に特別な事はしていない。ただ、単に二体の怪人を纏めて斬っただけ。二体の怪人は焦がされる。地獄の業火に。厄災と言う業火に。
内蔵された機械が限界を超え、爆発を引き起こす。
「さて……休日だからと言って何もしない訳にはいかないか。面倒臭いが、放って置く訳にも行かないが……お偉いさん方から休日手当てぐらい出してもらえるだろうか?」

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す