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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 200

天井をじっと見上げ雅は一言。

「・・・無粋な」
「・・・?どうした?」

雅の行動の意味がわからず、雅の膝枕の上から啓太が質問したそのときだ。

ビーッ!!ビーッ!!

突然部屋中にけたたましいサイレンの音が鳴り響く。
啓太は知るよしもなかったが、それは緊急時に使われる非常警報だった。
何かとんでもないことが起こったらしい。
レーダー能力を持つ雅はそれにいち早く気づいてあのような行動を取ったようだ。

ピルルルル!ピルルルル!

雅の携帯型通信機が鳴り響く。
おそらく相手は夢かクロック、それか情報部の連中だろう。
雅は甘いひと時を邪魔されたことに憤然としつつも、通信に出た。

「雅だ。いったい何が・・・」
「雅様ですか!?大変です!町が・・・三方町で正体不明の怪人たちが複数暴れ始めましたっ!」
「何だとっ!?」
「そ、それも1件2件ではありません!爆発的な勢いでどんどん増えていますっ!
 至急、お戻りになり、指示をくださいっ!」
「・・・わかった。すぐ行く」
「どうした?何か、あったのか?」

雅はそれだけ言って通信を切る。
雅のただならぬ様子に、悪い予感を感じた啓太が質問する。
それは予感が外れてほしいという、一縷の願いだったのかもしれない。

「町のほうで所属不明の怪人たちが複数暴れているらしい。
 部下が私の指示を必要としている。もう私は行かねばならない」
「・・・っ!」

悲壮な表情で雅は残酷な事実を啓太に伝える。
その言葉に啓太は来るべきときが来たことを悟った。
夢とクロックはまだザウルスペクターとの決戦の日は先のことだと言っていた。
しかし現実はそんなに甘いことばかりではない。
敵が夢たちの思惑を外れ、動くことも十分にありえることだった。
普段の啓太ならば唐突な不幸に嘆き、わめくしかできなかいだろう。
しかし血みどろの訓練を乗り越え、精神的にも肉体的にも強くなった今の啓太は違った。

「わかった。オレも行く」
「啓太!?」
「何の役にも立てないけど、だからって何もしないわけには行かねえからな。
 せめておまえのお供くらいさせてくれ」

その言葉に感極まった雅は思わず啓太を抱きしめる。
ほれた男の成長がたまらなくうれしかったのだ。
自分たち怪人を守りたい、助けたいという思いが感じられるのだからなおさらだ。
この1件が終わったら、抱いてもらうようにお願いしよう。
ダメと言われても根気よく説得しよう。絶対にそうしよう。
恋する乙女は愛する男を抱きしめながら、そう心に決めたのだった。

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