世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 199
「何でもいいからさっさとやって〜!
でないと退屈でボク、野垂れ死んじゃうヨ〜!」
まるで駄々っ子のようなことを言いながら、地べたに寝転んだまま持ち上げた右手をひらひらと振る。
その態度にプテラナイトは、やれやれといった様子でフルフェイスのヘルムから重い重いため息をつくのであった。
――――
レックスライダーとプテラナイトが何やら危険な会話をした翌日。
啓太は1人ベッドの上で惰眠を貪っていた。
そこには夢や刀の姿はおろか、啓太を甘美な世界に引きずり込んだ雅の姿もない。
しかしつい先ほどまでは誰かが添い寝をしていたらしい。
啓太の右手は先ほどから何かを探すように、ベッドの上を這い回っていた。
これで一般常識やモラルを語っていたというのだから、口先だけと言うか、あきらめが悪いと言うか。
・・・とか何とか言っている間に、啓太が目を覚ましたようだ。
「・・・みやび・・・?」
彼は寝ぼけ眼で目の前にいるはずの人の名前を呼びながら、ゆっくりとその身を起こした。
そして、啓太は雅の頭を優しく撫でる。
「ふふふ、くすぐったいぞ啓太。」
「起きたのか雅。」
啓太は雅の頭を撫でてたが、突然起きてびっくりした。
「う〜ん、もう少し撫でさせてくれ。」
しかし、雅は撫でろと啓太に頼む。
髪の毛をなでられるなんて子供の頃以来の経験だが、不思議とその感触は心地いい。
啓太は男としてのプライドとの間で揺れ動きながら、結局彼女のリクエストに応えることにした。
「ふふっ・・・♪おまえの髪をなでるのは気持ちいいな・・・?
やみつきになってしまいそうだ・・・♪」
本当に幸せそうに微笑みながら啓太の髪を梳く雅。
「みんなの姿が見えなかったから、どこに行ったのかと思った」
「夢たちならおまえを怒らせたことにしょげて仕事に戻った。
後でしっかりフォローしておけよ?」
「それが主人としての務めだ・・・ってか?」
「そーゆーことだ」
雅はクスリと微笑むと、再び髪を梳くことに集中した。
5分くらいだろうか。雅は不意に顔を上げると少々不満げな顔をして啓太の髪の毛から手を離した。