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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 196

彼女たちが逃げ出したくなるような地獄の日々は、思い出したくない記憶としていまだに啓太の脳に焼き付いている。

「おまえはそんな環境にいた私たちを助けてくれた。
 それだけでなく、悪の組織にも人間社会にも属せない私たちが生きていけるような環境を作ってくれた大恩人・救世主なんだぞ?
 怪人たちがおまえに好意を持たないほうがどうかしているだろう?」
「そ、そうかもしれんが。
 いくら好意を持ってたって、それが恋愛感情に発展するなんて大げさだろうが」

わかりやすい雅の説明に啓太は反論する。
確かにレフトファンの怪人たちがまともに生活できるように命令したのは啓太だが、実行したのは夢たちだ。
それに命を救われたからと言って、自分にホレる理由がわからない。

「だ、大体おまえらには一度主人として登録した相手には逆らえないんだろ?
 おまえらはその制約のせいで、恋をしていると思い込んでいるんじゃないのか?」

確かに彼女ら怪人には、主人として登録した相手には逆らえないという制約がある。
ある種洗脳とも言うべきこの制約が、啓太に雅たちの恋愛感情を完全に信じさせなかった。
だが。雅はそんな啓太の不信感を鼻でふっと笑い飛ばした。

「啓太。私がおまえが好きだと言う以上、それは間違いなく恋愛感情だ。
 制約?洗脳?知ったことか。何がきっかけだなんてそんなことは関係ない。
 他の奴らはどうか知らんが、少なくとも私はおまえが主人であるなしに関わらず、おまえをアイする自信があるぞ?」
「・・・うわお」

あまりに男前なセリフに啓太は言葉を失った。
確かにきっかけや形はどうあれ、彼女らの啓太への愛情は常識やモラルを無視するくらいに強い。
実際、夜這いされたり薬を盛られたりしたくらいだ。
そんな連中なら、今の関係を解消しても自分に迫ってくるような気がしてくる。
啓太が言葉を失っている隙をついて、雅は一気に叩き込みに入った。

「啓太。おまえは自分も私たちも過小評価しすぎだ。
 だから命令権なんて使ってまで私たちを拒絶したりする。
 それは自分を貶めるだけでなく、私たちを人間として扱っていないことと知れ。
 身体だけの関係が嫌なら振ってしまうなり、とことん愛するなり、それなりの誠意を見せろ!
 それが男の甲斐性というものだ」

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