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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 186

啓太の瞳に決意の炎が灯ったのを見て、シャーマンは満足そうにうなずいた。

「その意気です。その心を忘れない限り、敵にも味方にも、犠牲は最小限で済むでしょう。
 私たちは啓太様のお望みをかなえるための存在なのですから」

シャーマンはそう言うと、啓太の口から指を離す。

「では啓太様。私たちはこの方たちを治療するために一足先に基地へと戻りましょう」

こうして啓太の対ザウルスペクター用の訓練はその幕を閉じた。
レゼントの餌食となった人たちはそのすべてを救うことこそできなかったが、大部分の人を救うことができた。
できれば遺体は遺族に返したいと啓太は思った。
だが、ただでさえ凶悪犯罪者のレッテルを貼られている怪人たちの悪名をとどろかすようなまねをしたら、人の世に隠れ住んでいる野良怪人たちがどうなるかわからない。
完全な白骨死体も合わせてアパレント・アトムで丁重に弔うこととなった。
そして見事なまでに啓太に野生化怪人の恐ろしさを思い知らせた、あのレゼントはと言うと。
警備部の厳重な監視の下、今もその壊れた心と身体を癒すために医療部の治療を受けている。
身体の治療はお手の物だが、肝心の心のほうはなかなか元に戻らない。
いっそ頭の中を白紙にしたり洗脳してみたりしたらどうかというアイデアが出たが、毎日のように見舞いに来る啓太によって当然却下された。
それでは相手を殺すことと何の変わりもないからだ。
壊れて常識すらまともに通じない彼女を元に戻すためには、これから長い時間をかけて少しずつやっていくしかないとのこと。
これにより啓太の命令で野良・野生化怪人の回収にかなりの力が注がれることになるのだが、それは別の話である。

――――

「・・・ふぅっ。今日の分のノルマ、これで終わりぃ〜〜っと」

啓太はそう言うと、持っていたペンを放して机に突っ伏した。
訓練を終えて2日後。啓太は来るべき決戦に備え、一週間の休暇を与えられた。
しかし休暇と言っても、組織の長としての訓練がなくなったわけでなく、軽いトレーニングや組み手、書類整理や勉強などをやらされていた。
軽いと言っても怪人の目から見てからなので、啓太もそれなりに苦労している。

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