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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 184


その様子にシャーマンは安堵感と歓喜を覚える。
自分の主人が、夢の伝えたかったことを理解したことを察したからだ。
クロックはこの訓練で、啓太にどうにもならない現実を教えようとした。
だが夢が伝えたかったのは、そんなことではない。
彼女が伝えたかったのは、どんなときでも啓太が啓太であり続けること。
どんな絶望的な状況でも、あきらめずにその信念を貫き続けることだった。
それが怪人の主従関係以上に、啓太が怪人に慕われている最大の理由であり、最高の魅力なのだから。
しかし2人で満足な道具もなく、大人数を治療するなんてできるわけがなく。
どうしたものかと途方にくれ始めたそのときだ。
どこからともなく謎の集団が現れ、啓太たちを取り囲んだのである。
人数は数にして5〜6人。
みなフードや帽子、サングラスなどで顔を隠している。
服装もばらばらで、リーマン風のスーツ姿の男や、私服姿の男女、ライダースーツを着た若者の姿もある。
年齢も着ている服もまるで統一性のない謎の集団。
しかしここに来たということは、おそらく彼らもまともな人種ではないということだろう。
啓太は足元に倒れたレゼントたちをかばいつつ、戦闘態勢を取ったそのときだ。
目の前の集団は突然その場で片ひざをついて啓太に頭をたれた。

「え?え?」
「大丈夫です、啓太様。彼らは味方です」

目の前の連中が味方と聞かされ、驚く啓太。
自分の組織は女性で構成されていることから、目の前の男たちの存在が納得できなかったのだろう。
だが啓太は忘れていた。自分の組織にもちゃんと男性がいたということを。

「はい。地上で情報収集などの任務をしている連絡係の戦闘員たちです。
 彼らは啓太様の夜伽ができないので、普段は情報収集にいそしんでもらっているのですが・・・。
 今回は主だった怪人たちは使えないので、夢様が特別に編成、派遣したサポーターたちです」
「夢が・・・?」

相変わらずの手回しのよさに啓太は思わず感嘆の声を上げる。
何しろ今はザウルスペクターとの戦闘準備で何かと忙しいはずだ。
それなのに啓太を助けるためにこれだけの人員を割くなんて・・・。
感慨にふける啓太を見て、シャーマンがくすりと微苦笑を浮かべた。

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