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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 178


パキャ・・・ァァンッ!!

動揺するレゼントにシャーマンが止めの一言を投げかけた瞬間、空間の亀裂は視界すべてを覆って砕けてしまった。
砕けた空間から現れたものは先ほどまで見えていた幸せそうな村とはまるで違う、真実の光景。
それはいくつもの白骨死体の上にそびえ立つ、異形の巨木の姿であった。
「ゲゲ!!これがレゼントの正体か…シャーマン。」
「そうです啓太様、これが奴の正体です。
そして、啓太様がさっきまで観た村等は全て奴が作り上げた幻覚です。」
レゼントの正体に知って驚く啓太に彼が今まで見た物等の正体等を説明するシャーマン。
目を武器とする彼女には、最初からこの風景しか映っていなかったらしい。
先ほど幻覚レゼントの手を払ったのは、人間の手ではなくヤツの触手のような枝だったらしい。
それを見たシャーマンは、レゼントが樹上の枝になっている木の実に取り込む気だと思い、あのような行動に出たらしい。
それを聞いたオレは思わず背筋に冷たいものが走った。
レゼントの木の実に取り込まれる。それは人食い怪人であるヤツの餌食になるも同然だったからだ。
1つ1つがやけに大きいその木の実の中では、全裸の人間が1人ずつ封入されている。
みな心地よい夢を見ているのか、気持ちよさそうに微笑みながら液体に満たされたそこでぷかぷかと浮いている。
老いも若いも、男も女も。そして人の形を失いつつあるものも。

ゴポッ・・・!

ちょうどそのとき、木の実の1つが割れて、中から白骨死体が1つ飛び出した。
飛び出した人骨は重力に従い、甲高い音ともに地面に落ちて砕けて散った。
おそらくあれがレゼントに食われたものの末路、と言うことなのだろう。
哀れな死体に自分の姿を重ねて生唾を飲む啓太。
そのとき、巨木の幹、その中央にいた・・・否、手と下半身を溶け込ませたレゼントが、ゆっくりとその口を開いた。

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