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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 177


ゾクッ・・・

啓太はその光景に鳥肌が立った。
村人がまるで変な新興宗教にハマってしまった信者のようで。
彼の心の中で芽生えていた違和感が再び目を覚まして暴れだした。
だが啓太には違和感こそ感じても、それが何が異常で何が間違っているのか判別できない。
夢たちアパレント・アトムの怪人たちとの生活で感覚が麻痺していたこと。
そして隣のシャーマンの異常なまでの変化に目を奪われて、小さな変化に気づかなかったのだ。
だからこそ啓太は違和感の正体をシャーマンの異常な行動への反応だと勘違いしてしまった。

「バッ・・・何やってんだ、シャーマン!」
「啓太様!連中に心を開かないでください!開いたが最後、食われてしまいます!」

だがシャーマンは謝ろうとさえしなかった。
それどころか彼女は親の仇を見るような態度で連中をにらみつける。
その過剰なまでの態度にさすがの啓太も少々あきれた。

「お、おいおい、シャーマン。いくらここに人食いの化け物怪人がいるからって、あの人たちを一緒にしたらダメだろう?」

少なくとも彼らはどう見ても人間だ。とても人間を食うような怪物には見えない。
だがシャーマンはそんなことはないと言わんばかりに首を横に振った。

「啓太様!騙されないでください!ここには最初から1人しかいないんです!
 いえ、正確にはアイツ以外の人間が表に出てこれるはずがないんです!
 だってここには白骨化した死体とあの女が食っている人間しかいないんだから!」

ピシッ・・・!

「!?」

その瞬間、空間に亀裂が入った。まるでシャーマンの言葉に反応するかのように。
空間の亀裂はどんどん大きくなっていき、目の前の光景すべてを飲み込んでいく。
目の前の信じられない光景に、オレはただ驚くことしかできない。

ピシッ・・・!ピシピシピシッ・・・!

「な、何だ・・・!?い、いったい何が起こっているんだ・・・?」
「そうやって人を甘言とありもしない妄想で誘い込むのがおまえの手管か、スリーピング・ビューティ!?」
「ち、違います。私はただここを訪れた人たちに幸せな夢を・・・!」
「だったらここに転がっている死体と、おまえがむしゃぶりついている人間は何だと言うんだ!?
 おまえはただ、夢という幻をエサに人を食う化け物じゃないか!」

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