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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 175


「啓太様。何をおっしゃってるのですか?
 私には村などどこにも見えませんが・・・」
「は?何言ってんだよ、目の前にすっごくのどかな感じの村が広がっているだろ?
 ほら、子供とかすごく楽しそうな感じで遊んでいるし」
「・・・・・・っ、」

その言葉にシャーマンはなぜ自分が啓太の護衛としてつけられたのか、その意味を理解した。

(そうか・・・!だからクロック様たちは私をここに・・・!)

シャーマンはその意味を悟るや、再び啓太の手を強く握り締めてこう言った。

「・・・啓太様。1つお願いがございます」
「な、何だよ、藪から棒に」
「これから何があっても私から手を離さないでください。
 何があっても、絶対に」
「は?な、何言ってんだよ、そんな恥ずかしいマネできるわけ・・・」
「お願いでございます。どうか、どうか・・・!」

真剣な様子で嘆願するシャーマン。
しかし啓太としては基地でならともかく、人前で四六時中手をつなぐなどちょっと抵抗がある。
突然のシャーマンのこの申し出。いったい彼女の目には何が映ったというのだろうか?
啓太はいくらいやだと言っても、シャーマンはしつこく食い下がる。
ここで命令を強制実行させる手段もあるが、こんなくだらないことで使いたくないし、自分の意思で使えるかどうかもわからない。
何よりこんなに必死にお願いしてくるのだ、無下に断るのもためらわれた。

「あ〜もう、わかったよっ!手をつなげばいいんだろ、つなげばっ!?」
「・・・!ありがとうございます、啓太様!」
「ただし今日だけだからな!あとトイレとか風呂とかそういったときはなし!」
「かまいません。この任務の間だけでいいのです、どうか私の手を離さぬようにお願いいたします」

心底安心した様子で啓太の手を握るシャーマン。
その行為にどんな意味があるのかも知らない啓太は、やりづらそうにポリポリ頭をかきながら、目の前の村へと進んでいくのだった。
村に入ると、遠くから見たときと同じように幸せそうな笑顔を浮かべた村人たちが丁寧に挨拶をして出迎えてくれた。

「おお、おお。こんなへんぴなところにお客さんとはめずらしい」
「ようこそこの世の楽園へ。村の衆一同、あなた方を歓迎いたします」
「は、はぁ・・・こいつはどうも・・・」

あまりの親切さに啓太はなぜか違和感のようなものを感じ、シャーマンは握る手にさらに力を加えた。
村を見つけてからのシャーマンの異変に、啓太が問いただそうかと思ったそのとき。
歓迎してくれる村人たちが急に二手に分かれていく。

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