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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 174


「攻撃能力がないってことは、何らかの手段で獲物を捕らえるってことか?」
「おそらくは。私も敵の名前が『スリーピング・ビューティー』と呼ばれている非戦闘型の野生化怪人だとしか・・・」
「おいおい、そんなんで大丈夫なのかよ?」
「はい・・・。我が組織とあのお二方の判断に間違いはございませんので」

2人で人食い怪人を殺す、非情な任務につかされているというのに、シャーマンは夢とクロックのことを露穂dも疑っていないようだった。
このあたりは一般人・・・いや元一般人の啓太には誓いできない感情である。
しかし確かにあの2人の判断に間違いがあったことなどない。
事実啓太もあの訓練で2人の思惑通り、自分の怪人を道具として扱う能力に目覚めたのだから。

「・・・そうだな。今となってはあの2人を信じるしかないか。
 それにしてもスリーピング・ビューティー(眠り姫)ねぇ。
 名前だけ聞いているととてもそんなおそろしい相手なんて思えないんだけど」

啓太はこれ以上の情報収集は不可能と判断して、ふと空を仰いだ。
空はどこまでも青く、広く続いていて。
とても自分たちがこれから命のやり取りをしに行くとは思えない天気であった。

――――

「・・・何だ、こりゃ?」

それから30分後。
さらに山の中を進んだ啓太たちはおかしな光景を目にしていた。

キャッキャッ・・・アハハッ・・・

山の中に開けた空間。そこには満開の花が咲き乱れる小さな集落があった。
目の前の花園では子供たちが楽しそうに遊び。
そのまわりでは老人や大人たちが優しい笑顔を浮かべて子供たちを見守っていたり、世間話に花を咲かせたりしている。
啓太が暮らしていた世界とは、まるで違う別世界がそこに広がっていた。

「な、何でこんなところに村があるんだ・・・?
 つーか、いつの間にオレの町の近くにこんなもんが・・・?」

目の前の光景に呆然とする啓太。
すると隣で手をつかんでいたシャーマンがきゅっ・・・と力をこめてきた。
その顔色は心なしか悪いようだ。
怪人でも急に具合が悪くなったりするのかとバカなことを考えていると、シャーマンがその口を開いた。

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