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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 170

「そうね、お母さんもそう思うわ。
 私たちも啓太様を支えられるようにがんばらないと、ね」
「うんっ!」

千羽を殺しかけたことは、一生啓太の記憶から消えることはないのだろう。
しかし啓太は知っている。自分のまわりには不器用ながら自分を支えようとしてくれる連中がいることを。
そして自分はありのままに、好きなようにしていいのだと隣にいる女から教わった。
だから啓太は前に進む。自分のしたいこと、作りたい世界を作るために、ただひたすら。
啓太の小さな一歩は、人間としてとても大きい成長を啓太に促したようだった。

――――

その頃。見送りに来れなかった夢たちはと言うと。
いまだかつてないほどの仕事に忙殺されていた。

「夢様!また新しい組織がこちらの攻撃を企てている模様です!」
「またか!?情報部と作戦部に連絡、敵組織の情報を収集しつつ偽情報で翻弄させてやれ!」
「クロック様、組織入りを打診していた組織から、同盟拒否の返答が送られてきました。
 やはりここ最近の悪名が、相手を警戒させてしまったようです」
「ならばプランAをプランDに変更して勧誘しろ。
 あそこの組織の力はぜひとも我が主の力とせねばならん」

部下の報告を受け、デスクに大量の生類の山を積み上げながら、2人はそれぞれの各部署に指示を送り続けていた。
彼女たちがこれほど仕事に翻弄されているのは言うまでもなく、そこらじゅうで暴れまわるザウルスペクターのせいであった。
彼らがアパレント・アトムの名をかたって暴れてくれたおかげで、刺激された正義の味方やら悪の組織やらがこちらのことをかぎまわりだしたのだ。
中にはホントにアパレント・アトムがやったと勘違いして、ケンカを売ってくるバカな組織も出る始末。
今、夢たちはザウルスペクターのした後始末に追われ、警備部・作戦部・情報部だけでなく、使える怪人を総動員して基地の防衛や情報操作などの仕事をしている。
これだけ忙しい状況で、啓太に悟られなかったのはさすがと言うべきだろう。
もっとも見送りに行く人材を割けられないほど追い詰められていたようだが。
「くそっ。あの戦闘狂どもめ、我々を引きずり出すためにここまでやってくれるとは・・・!」

クロックが口汚く、敵をののしる。
まさか自分たちの危険も省みず、片っ端からケンカを撃って回るとは思わなかった。
おかげで同盟を打診していた組織からは逃げられ、今や三方町はどこもかしこも敵だらけの一触即発の危険地帯と化してしまった。
もしどこかで火種が起きれば、誘爆して町全体が戦場となるだろう。
幸い、今は短気な連中はまだザウルスペクターを追っているようだが・・・。
早く手を打たねばならないことに変わりはない。

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