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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 167

その結果、啓太は鈴や空たちと出会い、アパレント・アトムという組織を手に入れた。
自分より優秀できれいな女の子たちと知り合い、それをいいようにできることはとてもうれしい。
でもそれは結果であって、啓太の望みではない。
彼はただ、奴隷のようにこき使われ、捨てられていく怪人たちを助けたかっただけなのだ。
シャーマンのアドバイスでそのことに気づいた啓太は、初心に返ることにした。
それが今朝の啓太の異変の正体であり、決意のあらわれだったのだ。
それは啓太の、人間としてのささやかな成長でもあった。
そしてその第一歩として千羽の元へ謝罪に訪れたのだ。
もちろん啓太もこんなことくらいで自分の罪が消えるとは思っていない。
千羽に意識さえあるならば、彼女はすべてを水に流してくれることだろう。
啓太は彼女の主人で、千羽は啓太の役に立つことが存在理由なのだから。
だがそれではダメなのだ。
あれだけのことをしておいて、何もしないのは間違っていると思ったからこそ、ここにやってきたのだ。
啓太は自分にできる精一杯の形で千羽に謝罪すると、顔を上げて立ち上がる。
懺悔の時間はもう終わりだ。
これから啓太は次の訓練に向けてここを去らなければならない。

「夢たちが今度は何たくらんでんのか知らねえけど・・・。
 今度はあん時みたいな失敗はしねえ。
 また見舞いに来るときはきっと明るい顔して戻ってくるよ」

啓太はそう言い残して千羽の眠る部屋から出て行った。
千羽の部屋に再び静寂が戻っていく。
治療用の機械の駆動音だけが支配していた世界に、不意にごぼり、と違う音が響く。
千羽がカプセルの中で出した息が泡となってはじけた音だ。
それきり、変化は起こることなく、部屋は再び静寂に包まれ続けた―――。

――――

「おうっ、待たせた・・・な?」

千羽への見舞いを済ませた戻ってくると。
そこにはなんとも理解しがたい光景が広がっていた。

「ううっ・・・け、啓太様ぁ・・・」
「ひぃぃん、助けてくださいぃ・・・!」

基地の中で十字架に磔にされた鈴と空。
ローブを着て頭に茨の冠をかぶっているのは某神様の処刑を真似たのだろうか?
そしてそのわきでは槍を磨いて処刑準備にいそしむチェス・ボード。

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