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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 163

衝撃の出来事に固まっていた介錯丸はあわてて防御しようとするが、多勢に無勢な上、硬直から立ち直ったばかりで動きも鈍い。
その結果がどう出るかなど考えるまでもなかった。

ズババババババババッ!!

「ぐわああぁぁぁッ!?」

4人のストラグラーニクスたちによって、介錯丸は自身の血煙に覆われた。
全身のいたるところに鉤爪による切り傷がつけられ、そこから鮮血が飛び散っていく。
攻撃の嵐がやんで4人のストラグラーニクスが1人に戻ったとき、すべては終わっていた。
全身くまなく赤く染まった介錯丸が、呆然と立ち尽くしていた。
彼が立っていたのは鍛え上げられた肉体と精神の賜物である。
しかしそれ以上のことができはしないことは誰の目から見ても明らかだ。

「・・・っ」
「傷ついたあなたを倒してもつまらないので、今日は見逃します。
 ストラグラーニクスは『アパレント・アトム』の怪人です。
『アパレント・アトム』を追っていれば、近いうち、必ずストラグラーニクスたちと出会えるでしょう。
 そのときはストラグラーニクスとたくさん遊んでくださいね?」
「ふざ・・・け・・・」

介錯丸はそれだけ言うと、刀から手を離し、電源が切れたかのように地面に倒れ伏した。
恐竜軍団ザウルスペクター。彼らはそこかしこで破壊と虐殺を繰り返す一方でこのような遺恨を残している。
彼らは啓太の組織を騙って何をたくらんでいるのだろうか?
目的こそわからないが、ろくでもないことであるのは間違いないようだった。

――――

「啓太様、お目覚めでございますか?本日はカーズド・シャーマン様との合同訓練となっております。
 そろそろご準備をお願いいたします」

次の日。アパレント・アトムの基地では鈴と空の親子が啓太を起こしにやってきていた。
普段なら愛しい啓太の願いが見れると喜び勇んでくる彼女らだが、今朝ばかりは表情が暗い。
何しろ昨日の啓太は肉体的にも精神的にもかなり追い詰められていた。
本当ならもっと休養を必要とせねばならないところを無理にでも訓練に出さなければならないのだ、気分も暗くなろうというものだ。
案の定、部屋のインターホンからは返事が返ってこない。

「・・・啓太様?失礼いたしますよ?」

このまま放置することもできないので、2人は覚悟を決めて互いの意思を確認すると啓太の部屋に入った。
薄暗い室内。どうやら返事がないところを見ると、やはり啓太はまだベッドにいるようだ。
もしかしたら傷ついて不貞寝しているのかもしれない・・・。
しかし起こさねば今後の啓太の命にかかわる。

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