PiPi's World 投稿小説

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 160
 162
の最後へ

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 162

だがストラグラーニクスは介錯丸の刀の間合い一歩手前で歩みを止め、急にしゃがみこんだ。
そこにあるのは両足をそれぞれ縦と横に断たれたスパイクファングの姿が。
ストラグラーニクスはおもむろに鉤爪のついた右手を振り上げると、スパイクファングに向かって振り下ろした!

ブチュッ!ゴキャッ!

肉がつぶれ、千切れる音とともにスパイクファングの両足が宙を舞う。
新たな傷口から大量の血が噴き出し、返り血となって介錯丸の顔にかかる。

「帰りますよ、スパイクファング。
 いつまでも無様な姿をさらしてないでさっさと立ちなさい」

足もないのにどうやって?
そう思った瞬間、スパイクファングは突っ込んだままのポケットから初めてその手をあらわにした。
それを見た介錯丸が目を見開いた。
ポケットから抜き出された手は先ほど彼が断ち切ったスパイクファングの足とまったく同じだったのだ。
スパイクファングは介錯丸の驚きなど意に介さず、逆立ちして何事もなかったかのように立ち上がった。

「・・・っ!!」

そのとき介錯丸は理解した。スパイクファングは全力で戦っていなかったと。
それは剣士である彼にとって何よりも許しがたい屈辱であった。
屈辱に我を忘れた介錯丸は怒りのままに2人の恐竜怪人に向かって刀を横なぎに払う。
それはザコ怪人たちを一撃で倒した死閃とは似ても似つかぬ乱暴で、力任せの一撃だった。
当然そんな攻撃が2人に届くはずもなく。
ジャンプで軽くかわされる。怒り狂った剣士は許せぬ存在を抹消しようと傷だらけの身体に鞭打ち、自らも宙に跳ぶ。
その様子にストラグラーニクスは思わずため息。
しかしそこには手負いの獣を殺せる喜色がありありと浮かんでいる。

「困りました。ストラグラーニクス、あなたを見逃すつもりだったのに。
 仕方ないですからちょっとおとなしくしてもらいます。
 死んでもストラグラーニクスのせいではないですよ?」

ストラグラーニクスはスパイクファングに目配せすると、彼の差し出した手を足場に介錯丸に向かって急降下した。
一瞬にして4人にその姿を増殖させて。

(分身!?)

介錯丸は驚いた。しかしそれはまだ早かった。
4人に増えたストラグラーニクスが上下左右、それぞれ違う方向に移動し始めたのだ!
1人しかいない怪人が4人に増え、それぞれ別人のように動き出す。
ありえないことの連続に頭が混乱し、思考がストップする。
ストラグラーニクスたちはにこりと微笑むとただ一言だけつぶやいた。

「スプリット・イリュージョン」

その瞬間4人のストラグラーニクスはいっせいに介錯丸に迫ってきた。

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す