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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 161

それは介錯丸から見て右斜め上の空間。
彼は介錯丸に斬られる直前、シッポと右足で急激に方向転換をして攻撃を逃れたのだ。
しかしさすがに無傷でとは行かなかったらしい。
右足の足首から先がなくなっている。
血しぶきの舞う中、スパイクファングは何を思ったか、残った左足で空中を踏む。
その瞬間、空中を泳いでいたスパイクファングの身体は介錯丸に向かって突っ込んでいく。
だが介錯丸も負けてはいない。
すばやく迎撃体勢を整え、スパイクファングの攻撃に合わせた。

ガキィンッ!!

そして、交差。スパイクファングと介錯丸、勝負を決めたのはどちらか?
それとも両者共倒れか?

ポタッ・・・ポタッ・・・

結論だけを言えば勝ったのは介錯丸であった。
介錯丸の刀はスパイクファングの左足に突き刺さり、彼の足を足首から太ももまで縦にざっくりと分断していた。
脳天まで真っ二つとまで行かなかったが、両足を失った以上、スパイクファングは戦闘不能だろう。
だがその代償も大きかった。

「ふ・・・!ふふふ・・・ガッ!?」

介錯丸の右肩から鮮血が噴き出す。
彼の右肩にはスパイクファングの鉤爪が深々と突き立てられていた。
スパイクファングはあの時、足を切り裂かれる痛みに耐えながらせめて引き分けに持っていこうと肩に爪を立てたのだ。
両者とも、ものすごい勝利への執念を持っていたがゆえの結果であった。

ズルッ・・・ドシャッ!

やがてスパイクファングの身体を支えていた足が、刀から外れて地面に落ちる。
それに合わせるように介錯丸も刀を落として片ひざをつく。
全身を駆け巡る疲労感と血液とともに力の抜けていく感覚が、命のやり取りをしていたことを否応なしに実感させてくれる。
だが勝利を手にした介錯丸の顔色は決していいものではない。

「はあっ!はあっ!(く、くそっ!しくじった!まだ敵は残っているってのに!)」
「驚きました。まさかスパイクファングと戦ってその程度のケガで済むなんて。
 その実力、尊敬に値します」

案の定、今まで観戦を決め込んでいたストラグラーニクスが介錯丸に止めを刺すべく歩いてきていた。
スパイクファングとの戦いで受けたダメージと疲労で身体が思うようには動かない。
狙うなら油断している今。決めるのはただの一撃。
介錯丸は覚悟を決めてストラグラーニクスを確実にしとめられる最高のタイミングを待ち続けた。

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