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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 159

おまけに答えたのは攻撃してきたスパイクファングではなく、子供・・・ストラグラーニクスのほうだ。
本気で何を言っているかわからないとばかりに首をひねっているあたりが、さらに腹立たしい。
しかし戦いではちょっとした気の緩みが命取りになる。
介錯丸は怒りに流されないように注意しながら会話を続ける。

「そういう発言が人をバカにしているって言うんだよ。
 遊びたいってのも、要するに殺しを楽しみたいとかそういうことだろう?
 そもそも何で質問してるそこの男は答えないで、観客のおまえが答えているんだよ?」
「違います。ストラグラーニクス、バカにしてません。
 ストラグラーニクスたち、遊ぶためには強い人でないとダメなのです。
 弱い人、ストラグラーニクスたちと遊ぶとすぐに動かなくなります。
 それとスパイクファングに返事を期待するの、無駄です。
 スパイクファング、仲間ですが、口を利いたこと1度もありません」

介錯丸の問いにストラグラーニクスが答える。
質問に全部答えるあたり、意外と律儀と言うか、扱いやすそうだ。
介錯丸はそう判断すると、敵の動きに注意しながら更なる情報を引き出しにかかった。

「じゃあお嬢ちゃん。最近あたりかまわずケンカを売っているのも、遊んでもらうためなのかい?」
「そうです。だから早く遊んでください」
「!?」

ゴウッ!

その瞬間、今まで静観を保っていたスパイクファングが動いた。
ポケットに両手を突っ込んだ状態から足を動かすことなく間合いをつめ、ハイキックを放つ。
鋭い鉤爪のついた右足は鳥の足のような形状をして、さながら恐竜の顎のようになっている。
つかまれるどころか爪に引っかかっただけで、大ケガは避けられないだろう。
介錯丸は首をのけぞらせて何とか攻撃をかわす。
しかしそれで終わったと思うのはまだ早かった。

パァンッ!

「ッ!?」

スパイクファングの蹴りをかわした次の瞬間、介錯丸の顔面に強い衝撃が走った。
いったい何が?そう思うより先に今度は左の蹴りが迫っていた。
さっき食らったのは足ではないようだ。では一体何だ?
一瞬そんな疑問が頭をよぎるが、すぐに思考が戦闘モードに切り替わる。
吹っ飛ばされた衝撃を利用して身体をひねり、そのまま刀をスパイクファングの足にたたきつける!
弾かれ、角度を変えられた蹴りは介錯丸の顔を掠めてあらぬ方向へ。
介錯丸はそのスキにすばやく離れて間合いを取る。
そのおかげで彼は自分が何を食らったのか、理解できた。
尻尾だ。スパイクファングは右の蹴りの後、尻尾、左足と3連続の蹴りを仕掛けてきたのだ。
不意をついて攻撃してきたのに、見事な念の入りようである。

「べっ!」

介錯丸は口から血を吐き出すと、くわんくわんと揺れる頭をたたいて喝を入れる。

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