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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 156


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ここで少々時間はさかのぼる。
時間は1時間ほど前。場所は四積市野々山地区。
Bクラスヒーロー介錯丸が現場の収拾に当たっていたときの話である。
彼は日本刀と呼ぶには大きすぎる刀で肩をたたきながら、何人もの怪人たちと対峙していた。

「くっ、くそっ!怪人がこれだけいて、傷1つつけられんとはっ・・・!」
「だから何度も言ってんだろ?おまえらじゃ役不足だって。
 いいかげんにあきらめてお縄につけ」

うんざりした様子で何度目かの説得を試みる介錯丸。
彼としては見渡す限りの廃墟と化したこの場所で何があったのか、情報の1つもほしいだけなのだが。
この怪人の集団は何を勘違いしているのか、人を見るなりいきなり襲いかかってきたのである。

「お〜の〜れェ〜ッ!?我々の基地を1つ潰しておいて何を言うッ!
 ひるむなっ!かかれェッ!」

リーダーらしきライオン顔の怪人がわけのわからないことを言いながら、仲間たちと一斉攻撃を仕掛ける。
四方を囲まれ、逃げ場がないというのに、介錯丸はため息を1つついただけで逃げるそぶりすら見せようとしない。

「仕方ねえなぁ・・・。先に手を出した、オメエらが悪ぃんだからな?」

介錯丸はそう言うと、刀を肩で担いだ体勢のまま両手で塚を握った。
腰を落とし、ゆっくりと上半身をひねっていく。
そして怪人の攻撃が介錯丸に振り下ろされた瞬間、それは起こった。

「ふンッ!!!!」

ビュオンッ・・・!
介錯丸の掛け声とともに、刀が横一線に振り抜かれた。
一陣の風が吹いた後、一斉攻撃を仕掛けた怪人たちがぴたりとその動きを止めた。

「斬奸刀術断罪流・・・死閃(しせん)」

ズッ・・・ズズッ・・・ドシャッ!ドシャドシャドシャッ!!

その瞬間、斬られたことを思い出したかのように、怪人たちの首や胴が次々とズレ、2つに分かれていく。
確認するまでもない。みんな絶命していた。
・・・いや。たった1人だけ介錯丸の刀がとどかなった怪人がいた。

「ひ・・・は・・・!」

一斉攻撃を命じたライオン顔の怪人だ。
指示を飛ばしたおかげで運よく間合いに入らなかったらしい。
もしくは介錯丸がわざと見逃したか。
九死に一生を得たライオン顔の怪人は完全に戦意を喪失してその場にへたり込む。
股間からは何やら湯気とともにしみが広がっていく。
恐怖のあまり失禁したようだ。
介錯丸は血のついていない刀を持ち直すと、唯一の生き残りに向かって歩を進める。

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