PiPi's World 投稿小説

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 153
 155
の最後へ

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 155

「鬼瓦警視正、それはどういう事かね。」
会議を仕切る議長は警部の意見に耳を傾ける。
「はい、私が調べた所アパレント・アトムの行動はこれまでの悪の組織と異なり悪辣かつ派手な活動を行った形跡はありません。被害地の惨状と犯行の手口を見る限りでは別の組織の仕業と思います。」
「別組織の偽装だと言うのか?! だが、悪の組織というのは多くの場合業界内で名前を売ろうとする傾向がある。他組織の名前を名乗るなど・・・・・・いや、安易な手ではあるが、アパレント・アトムを陥れようとしているのか?!」
「その可能性が高いと思います。あとは、あわよくば我々正義の味方に消耗を強いるのも目的に入っているかもしれません。」
「それがこの乱暴狼藉の異常多発か・・・・!」
議長が歯噛みして悔しがる。
それは自分たちをコケにされたから怒っているだけではない。
犯人が別にわかっているというのに、取るに足らない小物をつぶさなければならない状況に怒っているのだ。
なぜ犯人がアパレント・アトムではないとわかってつぶさなければならないのか。
そこには大人の事情が含まれている。
今やアパレント・アトムは恐怖の象徴として知れ渡っている。
ここで犯人は別にいましたと真実を公表したところで、世間は信用しないだろう。
つまり一般市民に安心を与えるためにはその組織をつぶさざるを得ないのである。
もちろん犯人をアパレント・アトムとして倒す手段もなくもないが・・・。
これだけのことをする組織だ、すでに世間に名前を知られている可能性が高い。
言葉にできぬほどの無念に、会議室が包まれたそのときだ。
協会内に緊急事態を告げるサイレンが鳴り響いた。

「何事だ!?」
「緊急事態です!Bクラスヒーロー斬奸剣士介錯丸がやられました!!」
「何だと!?」

その言葉に議場はざわついた。
Bクラスと言えば、正義の味方の中でもかなりの実力者だ。
介錯丸はこの間平均レベルのCクラスから上がったばかりの男だが、それでも驚きを隠せるものはいないようだ。

「幸い、命に別状はありませんがかなりの重傷です。
 至急指示をお願いいたします!」

Bクラスがやられたとなれば会議どころではない。
会議は一時中断され、会議の出席者はマスコミへの対応、空白地帯となった管理地域への代理の派遣などに追われることになるのであった。

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す