PiPi's World 投稿小説

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 152
 154
の最後へ

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 154

正義の味方たちはすぐに現場に向かうのだが、着いたときにはすでに遅し。
仲間や敵対組織のものと思われる死体や、瓦礫の山が転がっているばかりだ。
まるで自分たちを挑発するかのような事件の数々に、ヒーロー協会もその重い腰を上げつつあった。

「ここ1週間で実に10件以上の怪人犯罪・・・か。
 しかもこの手口・・・明らかに我々を挑発しているな。
 いや正確には敵対勢力を片っ端から、だな」
「そんなことはわかっている!
 問題は奴ら『アパレント・アトム』が、我々正義の味方にケンカを売ったということだ!」

何者かの冷静な口調に、向かい側に座る男が机をたたいて怒声を上げた。
ここはヒーロー協会日本支部の会議室。
今、この部屋では巷を騒がせる悪質な犯罪組織『アパレント・アトム』のことについて会議している真っ最中であった。
だがここである疑問が浮かんでくる。
今、彼らが話している組織は間違いなく啓太の組織だ。
確かに啓太はクロックの口車に乗せられて三方町の支配に乗り出したが・・・。
彼は犯罪行為に手を出すことをのぞんではいなかったはずだが・・・?

「しかし妙ですね。
 普通、名前の知られていないルーキーの多くは、我々の眼を盗んでの人攫いや金品の強奪などを行うものですが・・・」
「何事にも例外があるということだろう。
 水面下で力をため、機械を狙っていたということも考えられる」
「そんなことは問題ではない!」

気の短い男が再び机をたたいて怒鳴る。
男が怒るのは当然のことだ。
何しろこの『アパレント・アトム』、暴れるたびに甚大な被害を残しているのだ。
やっているのは破壊・殺傷行為だけだがその数がとんでもなく多い。
今や『アパレント・アトム』は世間の恐怖の象徴となっているのだ。

「このままヤツらを放置していれば、我々は市民の信頼を失うだけではない。
 刺激されたよその悪の組織が報復に出る恐れがある! いやもうすでに動き出しているはずだ!
 我々は秩序を守る正義の味方としてこの事態を許すわけにはいかんのだッ!!」
「・・・ちょっと待ってください。
 この『アパレント・アトム』、どこかの組織が名前だけ語っているってことはありませんかね?」

権威をないがしろにされ怒り狂う男に、再び入る冷たい横槍。
入れたのは鬼瓦。新部隊の試運転ということで、この会議に招集された男であった。

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す