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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 153


シャーマンは去り際にそれだけ言って退室した。
閉じられたドアを見て、シャーマンは満足そうにうなずく。
それは啓太とのキスに喜んでいるのではない。
入室以前のあの暗い空気を払拭できたことに満足しているのだ。
確かに、あの様子なら啓太もすっきりした気持ちで考えることができよう。
事実啓太はその晩、あの暗い空気に飲まれることなく、1人物思いにふけることができたのだった。


物思いに耽る中で啓太はふと考える。こんな落ち着いた気分で考え事が出来るなんていつ以来だろう?と。
怪人達の存在が邪魔だ、等と言うつもりは毛頭無いがその怪人達がいる事で落ち着かない日々を過ごしているのは事実。
あまつさえ先日まで生きるか死ぬかのレベルであった事を考えれば、ある種の安らぎにも似たこの様な時間は本当に久しぶりだった。そしてそれは間違いなくシャーマンが啓太を心から落ち着かせてくれたからに外ならない。

考え事はいつしか、シャーマンについて思いを馳せる事に変わっていた。
しかし現実は時として残酷なものである。
啓太が悩みから立ち直ろうとしている間も事態は刻一刻と動いていた。

――――

PIPIPIPI・・・!

「はい、こちらヒーロー協会日本支部!え?!四積市の桜木地区と小西地区で怪人が!?
 了解しました、すぐに応援を派遣します!」

ここは世界の平和を守る、新京のヒーロー協会日本支部。
今、日本の平和を守る総本山はいまだかつてないほど多忙な日々を送っていた。
ここ最近急激に怪人による犯罪が多発しており、ほとんどのヒーローが総出でこれに対処していた。

「ライジングマン、ライジングマン聞こえますか?
 至急四積市の桜木町に向かい、そこで暴れる怪人たちを殲滅してください」
「ジャスティエナ、緊急事態です。至急四積市小西地区で暴れる怪人たちを無力化してください」

オペレーターたちが警察の連絡を受け、すばやく付近にいる正義の味方に連絡を入れる。
しかしヒーローたちからは色よい返事が返ってこない。
彼らはこの間被害を受けた地区のフォローもあり、そう何度も離れることができないというのだ。
やむを得ず、オペレーターは上司の許可を得て、本部で待機している虎の子のヒーローたちの出動の許可を求め、事態に対応した。
これが正義の味方の裏方で働く者たちの姿である。
悪党を倒し、知名度を上げればスポンサーもついてさらに強くなれるとは言え、ここ最近の忙しさにはさすがの正義の味方も辟易していた。
異常なまでに怪人による犯罪が増加しているのだ。

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