世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 152
「整備された道なら啓太様は苦労することなく、安全に目的地につけるでしょう。
進むべき道を知る方法も、危険を知る方法もすべて用意されているのですから。
ですが。獣道には何もありません。
進むべき道は啓太様自身の手で作らなければならないのですから」
考え苦しむ啓太にヒントを与えているのだろう。
シャーマンがわけのわからないことを語りだす。
なぜそんな回りくどい言い方をするのかわからなかったが、ないよりはマシだ。
啓太はヒントを元に再び考え出す。
「よく、私の言った言葉の意味を考えてくださいね。
それをよく考えれば啓太様の進むべき道が見つかるでしょう」
シャーマンはそう言うと、彼女は不意立ち上がって部屋から出て行こうとする。
普通ならお礼をくれだの言って迫ってきたりするのが常だっただけに、啓太はシャーマンは驚きつつ彼女を呼び止めた。
「お、おいおい。もう帰るのか?」
「はい。それとも『お相手』してもらってもよろしいのですか?」
「あ、いや。そーゆー意味じゃ・・・」
啓太は考えていることをズバリ言われて、あわててそれを否定する。
そんな主人の態度がおかしかったのか、シャーマンはクスリと微笑むと、
「そうですね。ではせっかくですから報酬のほうをいただきますか」
と啓太の元に歩いていった。これに対してあわてたのは啓太だ。
「ちょ、ちょっと待てっ!?おおオレは別にそんなつもりでっ!?」
だがこの時啓太は忘れていた。シャーマンは心を見抜く力を持つことを。
シャーマンはあわてる啓太を無視して、あっという間に啓太との間合いをつめる。
そしていたずらっぽく微笑むと。
チュッ・・・♪
突然の、キス。シャーマンは啓太の唇を一瞬だけ奪うとすぐに唇を離した。
「ホントは一晩かけて抱いてほしいところですが・・・。
今日のところはこれで我慢します。
啓太様の嫌がることをするのは私の流儀に反しますから」
あっけに取られる啓太。この様子では彼は気づいていないだろう。
怪人ではなく流儀と言ったシャーマンの気持ちを。
シャーマンも別にそれを求めていたわけではなかったらしく。
唇を奪って満足したのか、今度こそ啓太の部屋のドアを開けた。
「それでは啓太様、おやすみなさい。
私の『占い』から、自分の進むべき道を見つけられますよう・・・」