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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 148


(怖い怖い怖い――!)

恐怖が啓太の心を満たしていく。
心を満たしてなおも恐怖はあふれ、千羽を殺しかけた罪人として罪の意識は啓太をさいなみ続ける。
啓太は成り行きで怪人たちの主人となったが、別に啓太は他人を犠牲にしてでもかなえたい野望があったわけではない。
ただこんな美人のお姉さんたちに囲まれながら、バカやりながら暮らしていけたら、それでよかったのだ。
どこで何が狂ってしまったのか。
この町を支配しようとしたときから?
使い捨てに苦しむ怪人たちを救おうとしたときから?
夢をゴミ捨て場で拾ったあのときから?
どちらにせよ、もう啓太は戻れない。
啓太は自分の意思に有無にかかわらず、立派な殺人未遂の加害者となったのだから。

――ピッ。

そのとき。突然、啓太の部屋のインターホンが起動した。
画面にはゴツい目隠しをした見たこともない巫女装束の女が映っている。

「・・・啓太様。いらっしゃいますか?
 私、このたび次の任務でご同行することとなりました怪人、カーズド・シャーマンと申します」

次の任務。その言葉に啓太は今以上の地獄に落ちていくような気分にとらわれた。
まだ自分を苦しめたいのか。
啓太はあまりの絶望に怒りすら感じることなく、呆然とその言葉を聞いていた。
諦めにも似た境地の啓太は、半ばすべてがどうでもよくなり、ふらふらと立ち上がってドアを開けた。
そこには何も変わらぬ様子で立っているシャーマンがいた。
いや、普段の啓太ならばすぐに気づいたことだろう。
インターホンに出たときから、彼女が何かつらそうな表情でこちらをみていたことに。

「・・・何の用?できれば今日はそっとしておいてほしいんだけど・・・」

人生に疲れた自殺常習者のようなうつろな表情でつぶやく啓太。
それに対し、シャーマンが言った言葉はまったく予想だにしないものであった。

「・・・夢さまが私を啓太様の元へ行かせた理由がわかったような気がします。
 あなたは私や薙さまとよく似ていらっしゃいます。
 誰彼問わず無差別に他人を傷つけてしまう・・・。
 いえ、千羽さまを傷つけ、殺しかけてしまった自らの力に怯えていらっしゃるのですね?」
「――――!?」
「少し・・・お話をさせていただけませんか?
 私なら、啓太様のお力をどうすべきか、お教えできるかもしれません」

まるで何もかも知っているような口ぶりに啓太は戸惑う。
当然だ。初対面の人間が自分の心をずばり言い当てたのだから。

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