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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 145

「主人としての・・・権限・・・?」
「そう。啓太様にとって、我々怪人は道具。使い捨ての駒。
 啓太様の望みを叶えるための剣にして、その身を呈してお守りする生きた盾。
 それが我々の存在理由であり、すべてです」
「お・・・オレは別にそんな・・・!!」
「つもりがあろうとなかろうとそれは動かしようのない事実です」

あわててクロックの言葉を否定しようとするも、ばっさりと切って捨てるクロック。
まるで啓太の甘い発言など自分の存在意義を否定するものだと言わんばかりに。
しかし何も知らない啓太は必死になって否定する。

「そ・・・そんなこと、オレがするわけないだろ!?
 そもそもコイツらにもオレが命令した記憶がねえじゃねえか!?」
「記憶にあるないの話ではありません。
 啓太様。あなたが行使した力は、我々怪人を道具として使用するための当然の権利なのですから」
「当然の・・・権利・・・?」

啓太はクロックの発言の意味がわからず、呆然とつぶやく。
その後ろでは、鈴たちが自分らの知らない何かを語ろうとするクロックの一挙手一投足を見守っていた。

「我々怪人は主人なしには生きられない存在です。
 それゆえに私たちは命を賭して主人を守り、その命令を遵守しなくてはならないようにされています。
 ここまではご存知ですか?」
「あ、ああ・・・」

本当は知らなかったが、啓太はそう答えた。
少なくともメンテナンスを必要とすることを考えれば、すぐ気づくことだからだ。
だが啓太はわかっていない。
そこにクロックの言わんとする答えが隠されていることを。
だからクロックは説明する。
啓太に、自分たちの存在意義をようやく理解してもらえる喜びにその身を震わせながら。

「私たちは主人の望みをかなえ、守るために活動しますが、その行動には限界があります。
 たとえば啓太様が単身敵陣に乗り込んだり、敵の策にやられて無防備な啓太様が襲われたりした場合。
 このとき私たちには手の打ちようがない場合がございます。
 その問題を解決するためにあるのが、啓太様。
 あなたのような怪人の主人が持つ『命令の強制実行の権』なのですよ」
「命令の・・・強制実行・・・?」

クロックの言葉を啓太は理解することができない。
当然だ。怪人が使い捨ての道具であることはすでに知っている。
だからこそ怪人は命令には逆らえない。
なぜそれを今になって持ち出してくるのか?

クロックの言う命令の強制実行とはそのようなものではないのだから。

「啓太様がお考えになられているのは、普段私たちが意識のあるときに出す命令のことでしょう。
 しかし今私が言っているのは緊急事態における命令の話です」

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