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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 142

ヤツが動かなければ簡単に倒せるのに。
まるで子供のような理論が啓太の中で展開される。
今の啓太には千羽を倒す、ただそれだけの思いで満たされていた。
その時、もがき苦しむ視界の中で鈴たちの姿が入る。

(そうだ――。アイツらの力なら千羽を―――!!)

そう思った瞬間、啓太は叫んでいた。

「鈴ッ!空ッ!ビーストッ!薙ッ!千羽の動きを止めろッ!」
「「「「――――ッ!?」」」」

ドクンッ!!

その瞬間、名前を呼ばれた4人の目から光が消えた。
そして4人は次の瞬間、はじかれたように千羽に向かって駆け出した。

「―――え?」

千羽はその光景にきょとんとしてそれだけ言った。
状況が飲み込めなかったのかもしれない。
手助けすれば厳しいペナルティを受けるということを忘れ、4人もの怪人が自分に襲いかかってくるのだから。
だが思考停止になっても、身体は敏感に反応した。
突っ込んでくる鈴と空の突進をすばやくかわす。
そしてビーストと薙もかわそうとした時。
彼女の目はゴリラのように大きくたくましく変身させたビーストの腕を捉えた。

ドゴンッ!!

「ガッ・・・はあッ・・・!?」

すさまじい衝撃に千羽はたまらず声を上げる。
床にたたきつけられ、バウンドしたところに、薙の渾身の右ストレートが千羽の身体に吸い込まれた。

ドゴムッ!!!!

「〜〜〜ッ!?」


壁にめり込むほどの怪力に、千羽はもはや声も出せない。
全身から骨がビキバキときしみ、内臓や筋肉がミキミキ、ブチブチと音を立てて壊れていく。
不意を突かれたとは言え、戦闘型、それも幹部クラスの一撃は強力だった。
そして千羽が意識を失う瞬間、見たものは。
自分に向けて手刀と化した右手を振るう啓太の姿であった。

――――

「ハアッ!ハアッ!」
「「「「・・・はッ!?」」」」

4人が正気に返ったとき、全ては終わっていた。
啓太は四つんばいになって荒い呼吸を繰り返し。
その近くでは大きくへこんだ壁と、そのそばで血だまりの中に倒れている千羽の姿があった。
一体何があったのか。
4人が最初に思ったことはそれだった。
どうやら先ほどの惨劇の一端を引き起こしたのが自分たちであることを覚えていないらしい。
とにかく千羽を助けなくては。4人はすぐさま思考を切り替えて千羽と啓太に介抱に向かった。

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