PiPi's World 投稿小説

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 139
 141
の最後へ

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 141


「・・・っくしょ・・・。なんで・・・なんでだよ・・・!」

一方、自分の変化などまるで気づいていない啓太は、千羽に勝てない苛立ちと怒りを口にしていた。
それは日ごとどころか1分1秒ごとに増加していき、澱となって啓太の心に降り積もる。
もはや啓太の心は千羽を倒し、自由になることだけに集中している。
しかしどうしても彼女を倒せない。
幾度となく倒され、もがき苦しんだ結果、啓太は自然と防御と回避を覚えることができた。
もちろん手加減されている今の状態での話だが。
だが肝心の攻撃はどうしてもうまくいかない。
正面突破、カウンター、だまし討ち。
思いつく限りの手段、そのどれもが通じない。
それは2人の圧倒的な経験値の差が生んだ、越えることのできない壁だった。
しかし啓太はそれでもあがく。
越えられない壁を越えようと何度も何度も。
そのせいで啓太の心はストレスで爆発寸前。
キレるたびに痛い目に遭ってきた啓太は、必死に自分を抑えてきたが、もういろいろな意味で限界だった。

「ふーッ・・・!ふーッ・・・!うあああぁぁッ!!」

辛抱できなくなった啓太は、雄叫びとともに再び千羽に攻撃する。
迎え撃つのは千羽の針の嵐。
最初の頃のようなアンカーニードルだけではない。
ポイズン・スタン・スパイラル・バーストと全種類の一斉放出だ。
それに対して啓太が作ったのは、まるで布のように薄くて大きな盾(?)だった。
そして飛んでくる針に向かって腕を払い、布のような盾をたたきつける!
針は布の盾に刺さろうとするも、ものすごい勢いで横に振られて弾かれていく。
有線式の太いアンカーニードルは布の盾を突き破るも、残った布地がアンカーニードルに絡まり、その狙いが外していく。
針の嵐を払った先にあるのは倒すべき千羽の姿!
そこに目がけて腕を硬質化させた手刀を振り下ろす!

「甘いッ!」

だが相手もさるもの。振り下ろされた手刀を最低限の動きでかわし、硬質化していないひじを手に取る。
そして振り下ろされる手刀と動きに合わせて啓太を地面にたたきつける!

ダァンッ!!

「が・・・ハッ!?」

一瞬呼吸すらできなくなるほどの衝撃。
しかも畳やマットではなく硬い床にたたきつけられたために、啓太はその場で声にならない悲鳴をあげてのたうち回る。

「〜〜〜ッ!?〜〜〜ッ!!」

それは夢たちがすでに見飽きたパターンである。
啓太は突撃するたびに千羽の迎撃を防いで攻撃するのだが、どうしてもその詰めが甘い。
千羽はいともたやすく攻撃をかわし、投げ技や締め技などで啓太を反撃不能にして倒してしまう。
いくらヘッジホッグ(ハリネズミ)の名を持つ怪人とは言え、飛び道具だけしか能のないわけではないのだ。

(くそッ!くそッ!くそおッ!?)

啓太は地獄のような苦痛にのたうちながら千羽に呪詛を送る。
ヤツの動きを止められれば、攻撃を当てられるのに。

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す