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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 133


悲鳴を上げることもできず悶える啓太に千羽の厳しい叱責が飛ぶ。
それは難問の連続だった。
激しい痛みと苦しみの果てにようやく答えを出しても、すぐに次の問題が啓太の身体を苛める。
答えられなければそのペナルティに加え、新しい問題がさらに啓太を苦しめる。
それはまるで決して抜け出すことのできない、苦痛のアリ地獄のようだった。
一般人の啓太は、無事この訓練を乗り越えられるのだろうか?
鈴たちは訓練2日目にしてそんな心配をせずにはいられなかった。
「ふむ、少しは出来る様になったか……だが、まだザルだらけだ。」
啓太が死にそうな特訓をしてる時、クロックはスリランカ産のダージリンを優雅に飲みながら、モニターで啓太の特訓を手厳しく観ていた。
「………(啓太様、うっううう、おいたわしやぁ〜)」
呑気なクロックとは異なり夢は表面上は黙って見てるが、内心では啓太の無様な姿にただ涙を流していた。

しかしこれは啓太が望む世界を作るためにも必要不可欠。
夢は断腸の思いでもがき苦しむ啓太を放置しなくてはならなかった。
だが夢にもできることがないわけではない。
彼女も刀と同じく来るべき戦いの日に備え、さまざまなアクションを起こしていた。
情報部の集めた敵組織の情報チェックに運営部からの戦闘資金の捻出、警備部と教育部による怪人・戦闘員の戦闘訓練。
人事部のまだ見ぬ組織の怪人たちの発掘、開発部に依頼している武器の製作や怪人の再改造に強化エトセトラエトセトラ・・・。
クロックは自分の望む理想のため、夢は最愛の主人である啓太のため、モニターの向こうで苦しむ啓太を見守りながら雑務に追われるのであった。

――――

訓練開始から5日目。
この辺になると、自称平和主義者の啓太にも変化が表れてきた。
と言っても別にいきなり強くなったとか、そういうことではない。
何が何でも生き延びようと、本格的にあがきだしたのだ。

ドシュドシュドシュッ!

再び降り注ぐアンカーニードルの嵐。
啓太は迫り来る恐怖の雨に一瞬恐怖の色を浮かべるが、すぐさま左手に盾を作って何と千羽に向かって前進した。

「うああああぁぁッ!?」

ガキガキガキガキガキィッ!

アンカーニードルの雨は啓太の盾によってことごとくはじかれていく。
しかし相手は腐っても怪人。この程度では慌てない。
すぐさま両手を差し出し、毒と電撃を含んだ針を飛ばす。
そしてその針は啓太の身体に・・・刺さらなかった。

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