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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 131

切断面から燃えているもの、凍っているもの。
どう見ても間合いの届かないところにあるものが寸断されたり、斬っているのに傷1つ入っていないものまである。
異様な修行光景の中、また刀がわら人形を斬り飛ばし、玉のような汗を飛び散らせる。
どのくらいやっていればこうなるのか、彼女の着ていた胴着は汗でびっしょりと濡れており、胸の谷間からは乳揺れ防止用のさらしがうっすらと透けている。

「まだだ・・・まだだ・・・まだ、足りない・・・ッ!
 あの奥義を身につけるには、まだまだ・・・ッ!」。

刀は目覚めてからというもの、ここに閉じこもってずっと修練に明け暮れていた。
間違いとは言え主を傷つけ、あまつさえ肝心要の主人を守れなかった自分を刀は許せなかった。
そんな彼女が考え抜いた結論は・・・強くなることだった。
もうどんな状態でも啓太を傷つけず。どんな苦境でも啓太を守りきれるように。
啓太を守る刀となりたい少女は、一心不乱に剣を振るい、銃を撃つ。
彼女の編み出した『火剣』をさらに改良した奥義。
『七天抜刀(しちてんばっとう)』を会得するために。

――――

ヒュンヒュンヒュンッ!

「ひいいぃッ!?」

実践稽古が始まって2日目。
啓太は千羽の猛攻から必死に逃げ回っていた。
初日にしてコテンパンにのされた啓太は、少しだけ学習した。
自分の能力は無敵ではないこと。
そして今の自分の力では千羽に勝てないこと。
ならばどうする?命の危険を前にして、啓太は考えた。
そして出した結論は・・・逃げることだった。
勝つ気はおろか、戦うつもりなんて微塵もない。
何としても目の前の千羽から、この部屋から逃げ出して生き延びる。
それが啓太の出した答えだった。
あの時の、今までの大層な主張は何だったんだと言うなかれ。
それはぬるま湯のように平和な生活を送ってきた人間には当然の反応だ。
どんな優しい人だって、いきなり銃や刃物を持ったヤツに襲われれば逃げようとするだろう?
しかしあの夢とクロックがそんなことを許すはずがない。
啓太のいるトレーニングルームは固く閉ざされ、感嘆には脱出できなくされていた。
治療班の鈴と空、監視役の薙やビーストはあまりの過酷さに中止を訴えた。
だが次の日の朝食と一緒に送られてきた夢たちの警告文とポイント報告書を見せられ、彼女たちはその口を閉じざるを得なかった。
内容こそ凄惨だが一応死なない程度に手加減されているために、薙たちも中止することができなかったのも大きい。
そして啓太は薄情な仲間たちからも見捨てられ、今は恥も外聞もなくゴキブリのように逃げ回っているわけであった。

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