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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 129

物理攻撃だけを想定してタックルしてくる啓太に対し、千羽は攻撃をかわしざまに至近距離で針を打ち込み、帯電させているのである。
もちろん針自体は啓太に通じていない・・・というか、通じないようにしているのだが、針に含まれている電気が啓太をしびれさせている、というわけである。
よく考えればすぐにでもわかるようなことなのだが、なまじ自らの能力を理解し、知らず過信しているぶん気づかないのである。

「く、くそッ!?な、何でオレの攻撃があたんねえんで、アイツばっかり攻撃ができるんだ!?
 オレはちゃんと防御しているのに・・・ッ!」

そんなん思い上がってるから攻撃されてんだよ。
その場にいたみんなが心の中でそう突っ込んだ。
だいたい攻撃と言っても回避する気ゼロ、ダメージ覚悟の体当たりばかり。
啓太は攻撃を当てるために自分から近づいてくれるから、死角だらけのでかい的に攻撃し放題と言うわけだ。
あのファミレス襲撃事件で夢が啓太に出てくるなと忠告したのは、戦闘のための身体ができつつあっただけで戦略的なことはまるでダメだったこともあったのだ。
あまりのつたない攻撃に、世話好きな千羽は戦闘のイロハを教えたくてうずうずしている。
教育部の教官としての血が騒いで騒いで仕方がない。
しかしこの任務は自分の今後にかかわる重要な任務だ。
でもだからと言ってあれを放置することもできない。
世話好きと立場の間で激しくジレンマする千羽の心。

「くそっ!こうなりゃ当てるまで何度だって繰り返してやるッ!」

ブチッ・・・。

そこに来た学習能力のない啓太の体当たり。千羽の頭の中で何かが切れた。
よけることをやめ、右手をすっと啓太に向けて掲げる。
瞬間。千羽の背中から数本の黒く細長い影が飛び出し、啓太に向かって飛んでいく。

「・・・え?」

無敵の盾の死角からするすると飛び込んでいく黒い影。
ことここに至って、さすがの啓太もようやく気づいた。
それはモリのような形をしたロープつきの針だった。
この針の名前はアンカー・ニードル。
本来は移動や荷物の輸送に使うものなのだが・・・。

ガキッ!

針の先端が啓太の鎧の間接部分の隙間に入り込んで啓太の身体を固定すると、千羽は無言のまま1本背負いの要領でロープを引っ張った。

「ぅわッ!?」

体当たりをかまそうと前進していた啓太は、さらに前へと引っ張られてその身体を宙に浮かせる。
啓太の身体は目標の千羽を大きく外して飛んで行き・・・。

ベキャアッ!!

「がぼッ・・・?!」

壁にたたきつけられた。鎧をまとい、ただでさえ思い体に加わった衝撃は身体全体に伝播し、啓太に予想だにしないダメージを与えた。

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