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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 128

おまけに千羽にプレッシャーを与えることで油断をも消してしまった。
能力・技量・経験。全てにおいて啓太が勝てる見込みは限りなく低い。
しかしそんなクロックの発言を夢はふっとあざ笑った。

「貴様は我らの主をよく理解していないようだ。
 いや、侮ってすらいるな。傲慢なことだ」

その言葉にさすがのクロックも足を止めて反応する。
確かにクロックは啓太を悪の組織の長として立派に育て上げようとしている。
しかし侮ったなどとそんな傲岸不遜な考えを持ったことは、ただの一度もない。

「・・・待て、夢。誰がいつ、我が主を侮辱しただと?」

一触即発の空気が周辺の景色をゆがめる。
返答しだいでは間違いなく殺し合いが始まるだろう。
しかし対する夢は恐れを抱く様子もなく、いたって冷静に答えた。

「わからないか?
 千羽が・・・いや我々全員がどれだけ強かろうと、啓太様がその気になれば1秒待たずねじ伏せられるということが」
「・・・バカな、どんな猛者であろうと我々全員を1秒でねじ伏せるなど・・・」
「だから貴様は傲慢だと言うのだ。我々がこうしていられるのも、全て啓太様のお慈悲あってのことだと言うのに・・・。
 我々怪人とはどんな存在なのか、そして戦いとはどんなものなのか、無駄にでかい頭で考えてみるんだな」

夢は歩みを止めることなく、言いたいことだけ言ってその場を去る。
彼女は啓太に何を見出していたのか?
クロックは夢の質問に答えられないふがいなさと、啓太を信じきれるその確固たる自信の前に、敗北感にも似た感情を抱いていた。

――――

ドシャアッ!!

「ぐはッ!?」

クロックが夢に言い負かされ、敗北感に打ちのめされていたその頃。
啓太と何度目かのダウンを喫していた。
なぜ鎧に身を包んだ自分がこうもダメージを受けているのか。
啓太にはまるでわからない。
彼は攻撃するたびに謎の攻撃を食らい、何度もダウンしているのである。

「・・・やはり訓練をしているとは言え、かなりの力の差があるでござるな」
「ああ。あれだけやられて、まだ何されているかわかってねーみてーだしな。
 おまけに攻撃もワンパターン・・・というかバカの一つ覚えの体当たりだし」

不安そうに啓太を見守るビーストと薙。
相手を務める千羽さえも不安そうに啓太を見ている。
啓太がさっきからやられているのは千羽の攻撃の1つ『スタン・ニードル』。
左手から射出される帯電した針である。

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