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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 127


クロックの一言で、千羽はまるで別人のようなやる気を見せる。
いや、気持ちはわかるが・・・ものすごい変わり身の早さである。
そこにすかさず入る夢の警告。

「ビースト。薙。あなたたちは啓太様が死なないようにしっかりアシストしなさい。
 命に別状がなければ、手足の1〜2本もげてもかまいません。
 多少の大ケガも医療部の力があればすぐに治せますしね。
 後で医療部から1人派遣しておきます」
「うえ!?」
「せ、拙者たちもでござるかっ!?」
「ま、待て待てっ!?何だその危険発言っ!?
 オレがどうなってもいいと言うのかっ!?」
「それぐらい荒っぽくしなければ生き残れない、と言うことです。
 それではごきげんよう、啓太様」

その言葉を最後に夢とクロックは立ち去った。
残されたのは窮地に追い込まれた男と女が4人だけ。
鬼のような厳しさというより悪魔のようなタチの悪さを感じるルール内容であった。

――――

「おまえにしてはずいぶんと過激な手段に出たものだな、夢?
 まぁ私としては願ったりかなったりだが」
「・・・啓太様をこんな事態に引きずり出した張本人が、よくもまあそんな口を利けたものだな」

感心しながらしゃべるクロックに、夢は露骨に軽蔑のまなざしを向けて言った。
確かに三方町の支配は啓太自身だ。
しかしそのように仕向けたのは、間違いなく目の前の執事服を着た女の仕業。
主人を守り、その望みをかなえようとすることを旨とする夢にしてみれば、クロックのしたことは許しがたい行為であった。

「さて何のことかな?
 それに私をひどいと言うなら、今の啓太様とフレシェットの実力差をわかっていてフレシェットに勝てと言う貴様のほうがひどいのではないか?」

空っとぼけた挙句に反撃に出るクロック。
予想していたこととは言え、やはりこの女に言われると夢も怒りを感じずにはいられない。
しかしこの程度のことでいちいち怒っていては組織の責任者など務まらない。
清濁合わせて飲み干す度量で湧き上がる怒りをやり過ごす。
クロックが言っていることも間違いのない事実なのだから。

「確かにな。だが我々にとって最大の弱点は啓太様だ。
 啓太様はどこまでもお優しい。しかし命がけの戦闘ではそんなもの足を引っ張る枷でしかない。
 このままでは啓太様は戦力的にも性格的にも足を引っ張り、敗北するか、自滅されてしまうだろう。
 それを避けるためならば、私は鬼でも悪魔にでもなってみせるさ」
「殊勝なことだな。だが10日で勝てはいささか厳しすぎると思うが?」

クロックの見る限り、啓太と千羽(フレシェット)の実力差は歴然としている。
まして啓太は防御、千羽は攻撃に特化している。

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