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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 13


――――

「まったく・・・。
 どうしてこう怪人ってのは、こう問題をポンポン持ってくるかなぁ」

啓太は自宅のベッドで寝転がりながら、思わずポツリとつぶやいた。
読者諸君は基地にいたはずなのに、いつの間に自宅に戻ったのかとお思いであろう。
実はこの第2部が始まるまでの半年間、啓太の生活環境はめまぐるしく変化した。
平穏を望む啓太が人間社会と悪の組織ならぬ怪人組織の両立を図るために、旧レフト基地と啓太の住んでいるマンションに秘密の通路を作ったのである。
ちなみにマンションは夢が架空の人物名義で買い取り、啓太以外の住民を配下の怪人と入れ替えてしまった。
啓太としてはここまでする必要はないと訴えたのだが、夢たちは頑として聞き入れなかったのは言うまでもない。
そして啓太は夢たちの策略により、野良怪人を保護するという名目で組織の売り出しと、啓太の成長を促すための経験値稼ぎを行っている。
先ほどの対応もその成長の表れの1つである。

「ったく、アイツらも悪い連中じゃないのは確かなんだけど、どうしてこう愛情表現がゆがんでいるかな〜・・・?」

・・・ちょっと訂正。
半年間で多少の成長はしているようだが、根本的な部分はまだ変わっていないようである。
とは言え、怪人たちも怪人たちで、少しでも啓太の意思を汲み取れるように努力しているようではあるが。

ピンポ〜ン・・・!

エレメンタル・ガーディアンの今後のことを考えていると、不意に来客を告げるチャイムが鳴った。
どうやら夢たちが頃合よしとやってきたようだ。

「はいは〜い!」

啓太は玄関で来客が夢たちであることを確かめると、速やかに彼女たちを中へと招き入れた。
夢はともかく、エレメンタル・ガーディアンの表情は暗い。
やはり最悪の展開が頭から離れないのであろう。

「・・・そんな暗い顔すんなって!さ、座って座って!」

啓太に促され、それぞれ座布団を用意して座るエレメンタルの3人。
夢に至っては勝手にお茶の準備を始めている。
勝手知ったる他人の家とは、まさにこのこと。
夢がお茶の準備をしている間、何ともやりきれない重い空気が流れる。
やがて沈黙に耐え切れなくなったのか、エレメンタル・ガーディアンの1人、エレメンタル・ウィンドこと七海マリアがおずおずと口を開いた。

「・・・あの、ご主人様?
 やはり、私たちは親元に帰らなければならないのでしょうか?」
「うん。いろいろ考えたけど、やっぱり君たちには家族がいるわけだし、戻ってもらったほうがいいと思う」
「「「――――ッ!!」」」

その言葉に、エレメンタルの3人は悲しい表情で顔を上げた。
特に感情的なエレメンタル・フレアこと初音マイは泣きながら啓太にしがみついて再考を懇願する。

「そんなっ・・・!イヤだよ、ご主人様!
 ご主人様と敵対しなきゃいけないくらいなら、いっそご主人様の手で殺してよ!!」

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