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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 12

 すでに怪人としての調教を受け、彼女らは正義の味方としてはもちろん、人間としても生活できなくなっています。
 彼女らを見捨てることは組織の理念、ひいては啓太様のご意思に逆らうことと判断しました。
 それが間違いだというのであらば、私は謹んでその処分を受ける覚悟です」

よくもまあ、舌がそこまで回るものである。
しかし抹殺や追放処分の可能性が否定できないあたり、見事に言い訳は立っている。
啓太にそれが伝わったのか、彼は怒鳴るようなことはせず、黙って周囲を一瞥する。
啓太の目に飛び込んできたのは、興奮に目を血走らせる怪人、クロックたちの独断を目で責める怪人。
そして啓太の意思に沿おうと静観を決め込む怪人や、自分たちの処分に怯える当事者たちの姿が入ってきた。
クロックの言うことがうそなのか、本当なのかは啓太に知る術はない。
ただどっちにしろ、エレメンタル・ガーディアンの帰る場所を奪い、人生をメチャクチャにしてしまったことは許せなかった。
啓太は怒りを抑えつつ、これからのことをしばし考えると、その結果を部下の怪人たちに告げた。

「クロック、ビースト、シャーマン!理由はどうあれ、おまえたちはエレメンタル・ガーディアンの人生をメチャクチャにした。
 よって罰としてこれまでの評価を全て白紙にする。
 加えて反省を促すために無期限の謹慎を言い渡す。
 いいな!?」
「御意に」

その言葉にビースト、シャーマンは目に見えるくらい、はっきりとわかるほどの衝撃を受け。
このことを予想していたであろうクロックはその決定に全面的に従う態度を見せた。

「エレメンタル・ガーディアンの3人と夢には話がある。
 あとでオレの部屋に来てくれ」
「かしこまりました」
「「「は、はい・・・」」」

啓太の言葉に、夢はともかく、エレメンタル・ガーディアンの3人はひどく不安そうな返事をする。
自分たちの今後に、言いようのない不安を感じているのかもしれない。
それを敏感に感じ取った啓太は、3人に歩み寄るとミニスカメイドの頭をなでくりながら優しい口調でこう諭した。

「心配すんな。おまえたちを見捨てるようなマネだけは、絶対にさせないから」

それはかつての啓太には見られない、優しくも毅然とした態度であった。
この半年の間、啓太はどんな生活をすごしてきたのだろうか?

「ちょっとごちゃごちゃしたけど、みんなはこれで各々の持ち場に戻ってくれ。
 あ、このことはくれぐれも他に話したりしないようにな!
 もちろん、3人を傷つけたりしてもダメだからな!?」

啓太は出迎えに来た怪人たちに戒厳令を敷くと、自室に向かうべくそこから立ち去った。
その慣れた立ち居振る舞いは、未熟ながらも立派な支配者としての貫禄を持ち合わせていた。

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