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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 11


「―――ッ!」

その瞬間、明らかにシャーマンの瞳に動揺が走る。
さすがにビーストほどわかりやすいものではない。
しかし夢他、カンのいい怪人たちから見ればはっきりとわかるほどのものであった。
一方のクロックはさすがというか、繭1つ動かすことなく平然としている。
圧倒的不利な状況で、クロックは全てを告白するのか?
それとも全てを隠し通すのか?
そしてついにクロックの唇がゆっくりと開いた。

「啓太様。一体どこでそのような情報を?」
「・・・今日、野良怪人を捕まえに行ったときに偶然出くわした、正義の味方から。
 向こうはひどく驚いていたよ。『なんで自分の邪魔をするんだ。
 なぜ怪人の味方をするんだ。エレメンタル・ガーディアン』ってね」

ザワッ・・・!

その言葉に周囲の怪人たちがざわめく。
当然だ。もしこれが本当なら、クロックたちはとんでもない危険を冒したことになるからだ。
それの意味するところは――裏切り。
啓太や幹部怪人の暗殺、基地の位置などの重要情報の漏洩。
その危険性を考えれば、夢たちにすぐさま報告しなければいけない情報だ。

「・・・とうとう知られてしまいましたか。
 できれば何も知らずにいられたらよかったのですが」
「・・・・・・ッ!!」

その言葉に再び周囲がざわめく。
今まで敵のたわごとだと思っていた、いや思い込んでいた当人たちの顔に、絶望と悲しみ、動揺と驚きが走る。

「貴様・・・ッ!?」

血気盛んな怪人の1人が怒りに任せて詰め寄ろうとするが、啓太が無言のまま上げられた手でそれを制した。

「・・・なんで、こんなマネを?
 こんなことすればオレだけでなく、他の連中も黙っていないことくらい、簡単にわかっただろう?」
「話せなかった理由は3つあります。
 1つは発見時、彼女たちが人間の医療技術ではどうすることもできないほどの重体であったこと。
 2つ目は彼女たちが全ての記憶を失っていたこと。
 そして3つ目は彼女らの正体に気づいたとき、すでに事態の収拾がつかなくなっていたからです」

・・・んん?
賢明な読者諸君はお気づきであろうか?
クロックの発言に、うそがそこかしこにちりばめられていることを。
無傷で切り抜けること不可能と判断して、被害を最小限にする腹積もりなのだろうか?

「・・・それでオレを納得させられるとでも?」
「思っていません。
 しかしこのことが明るみになれば、周囲からはエレメンタル・ガーディアンの抹殺、もしくは追放の処分が下される可能性があります。

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