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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 110

振り返った彼女が見たものは力なく倒れてきた啓太の姿。

「ふぐっ!?な、何事ですか、啓太様!?」
「・・・・・・」

しかし啓太からの返事はない。
クロックは膣内でしぼんでいく肉棒を引き抜くと、すぐさま体勢を変えて啓太の様子を見る。
見てみれば何のことはない。ただ気を失っているだけだ。
おそらく罪悪感と良心の呵責をブチ撒けた啓太は、それだけで精も根も尽き果ててしまったのだろう。
何の覚悟もなかった啓太にしてみれば、組織の総統なんてストレスの温床でしかなかったのかもしれない。

(仕方ないな・・・)

クロックはあまりに身勝手な啓太にため息を1つつくが、すぐに短く息を飲む音に取って代わる。
その目に浮かぶ涙に気づいたからだ。
意識を失ってもなお止まることのない涙は目からあふれて頬へと流れ、やがて2本の川となって彼の心の叫びを淡々と語り続ける。

(・・・しまった、な。まさか私の計略が啓太様をここまで追い詰めていたとは。
 このご様子ではすぐに町の支配に乗り出すのは得策ではない・・・か)

クロックは近くの受話器を手に取ると、指令室に連絡を入れる。
啓太が眠りに入ったことを伝え、定時にモーニングコールを入れるように指示するためだ。
連絡を済ませたクロックは、枕を濡らす啓太を見ながら、自分の進む道が本当に啓太のためになるのだろうか、真剣に考えながら啓太の隣で眠りにつくのであった。

――――

その頃。医療部の一角ではカプセルの培養液を抜かれた夢がようやく自由の身となっていた。

「調子はどうだ?身体に違和感はあるか?」
「いや・・・問題ない。むしろ調子がよすぎて不安なくらいだ」
「・・・そいつはこの間の戦闘で起こったという変身の後遺症だろう。
 そのうち治まるかなれるかなりするさ」

医療部部長チェス・ボード(本体)が問診しながら、持っていたカルテに何やら書き込んでいく。
しかしこの会話を聞く限り、ずいぶんといい加減な診察があったものだとお思いになる読者の方々がいるかもしれない。
しかし夢が相手とあってはそれもやむをえない。
何しろ夢の身体の大半は基地の施設をもってしても解析できないブラックボックス。
夢の身体のわかっている部分を元に、簡単な治療しかすることができないのだ。
問診と今までのデータを照らし合わせ、問題ないことを確認するとチェスはカルテに書き込みながら世間話を始めた。

「そう言えば聞いたか?啓太様がこの三方町を支配なさることをお決めになられたこと」
「・・・ああ。空たちから聞いたよ。きっと今頃、これから重ねていくであろう、罪の大きさに苦しんでおられるんだろうな」

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