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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 102


啓太はハハハ・・・と乾いた声で笑う。
その笑い声が自分自身への嘲笑であることは誰の目からも明らかだった。

「ホントさ、オレって何も知らなかったんだよな。
 誰にも迷惑かけず、静かに暮らしていれば問題ないって思ってたけど・・・。
 結局何もしなくてもオレたちを食い物にしようとするヤツがいて、自分にどれだけ力があってもできないことがあって・・・。
 今回の一件で、自分の甘さをつくづく思い知らされたよ、うん・・・」
「そ・・・!」

幹部の1人が思わず立ち上がって『そんなことはない!』と叫ぼうとする。
しかし啓太の目に宿る暗いものに、二の句が告げられなくなる。
そして啓太は語る。悪の組織アパレント・アトムの総帥として。

「だから・・・。オレはこの空白地帯である三方町を我がアパレント・アトムの支配下に置くことにした」
「・・・ッ!!」

ザワッ・・・!!

この言葉にさすがの怪人たちも驚きをあらわにする。
似非平和主義者で、平穏をこよなく愛する一般人の啓太がそんな過激な発言をするなんて思わなかったのだ。
だが一部の怪人は驚きと同時に歓喜も覚えていた。
戦うことしか能のない怪人にとって、それは主人の役に立てる千載一遇のチャンスだったからだ。
またプライドの高い連中にしてみれば、自分たちにナメたマネをした敵に復讐する絶好の機会を手にした事になる。
そして啓太にそれをそそのかしたクロックは、背筋にゾクゾク走る快感に身体を震わせながら、凄みのある薄笑いを浮かべていた。

(言った・・・!言わせた・・・!
 ついに啓太様がご自分の意思で、ついに・・・!)

これでもう後戻りはできない。
たとえどんな理由があろうと、一度覇道を踏み出したものはすべてをねじ伏せるまで決してその歩みを止めることはできない。
歩く本人が死に絶えるその時まで。
だがもちろんそんなことにさせる気はクロックにはない。
自分の持てる全てを用いてでも組織を、そして啓太を全ての頂点に立たせてみせる。
その最終目標に達したその時を思うと、クールを心情としているクロックは思わず股間を潤ませ、背筋の震えと笑みをこぼしてしまうのだった。
「流石は総帥見事なご決断です。我等一同感服いたしました諸君今こそ我等の力を見せる時だ。」
啓太の決断を利用しクロックは一気に流れに勢いづかせる。

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