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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 101


「ではこれより会議を始めます。
 まずは昨日の正義の味方及び悪の組織の混成部隊による襲撃についてです」

クロックの進行で当事者たちの情報を元に襲撃の内容が明らかとされ、そこからさらに被害状況の説明について語られる。
夢が手傷を負ったことにも驚かれたが、啓太のときに比べればまだかわいいものだ。
啓太がケガをしたと聞いたときのみんなの反応といったら尋常ではない。
あるものは啓太の身を案じ、またあるものはその場に居合わせなかったこと、啓太を守れなかったことを恥じたりして議場は一時混沌とした。
すぐに正義の味方と悪の組織への報復が提唱されたが、そこはクロックの鶴の一声で舞台は一応の静けさを取り戻した。
この辺は腐っても夢に次ぐ地位にいるだけの事はある。
クロックはみなを落ち着かせた後、いよいよこの会議の核心ともいうべき話を持ち出す。

「・・・さて、みなに落ち着いてもらったところで、ここで1つ啓太様よりお話がある。
 啓太様。どうぞ」
「あ、ああ」

自分からではなく啓太から言わせるあたり、さすがはクロックというところだろう。
啓太から言えばその意思は尊重される。
少なくとも手ひどい反対を受けることはないからだ。
啓太はこの事態をうすうす予想していたのか、緊張した面持ちで席から立ち上がる。
お飾り的な立場で、あまり落ち着きのない啓太からの発表に幹部怪人たちはわずかにざわめく。
自分がお飾りであることは啓太もよく理解している。
というより、彼女らの有能さを見れば否応なく自分が能無しだと自覚せざるを得ない。
しかし今だけは違う。今、彼はそれを理由に逃げることなく、前に一歩踏み出したのだ。

「んんっ。・・・みんな、聞いてくれ。
 この間、オレが視察に行ったファミリーレストランでオレたちは正義の味方と悪の組織の襲撃を受けた」

啓太の言葉に周囲は一瞬にして静まり返る。
主人の言葉を聞くときの彼女ら怪人なりのマナーみたいなものだ。
しかしそんなことなど知らない啓太は、そのまま会話を続ける。

「オレ、その時までこの能力さえあればどんな奴らからだってみんなを守れる、そう思ってた。
 でも、結果はクロックの話したとおり、ボコボコにされて負けた。
 今にして思えば夢や刀たちが必死に止めようとしてたのは、ああなるのがわかってたからなんだな」

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