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図書館からの帰り方
官能リレー小説 - SF

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図書館からの帰り方 9

「どうしたんですか!? キャアアアアアアアッ!!」
歌梨奈の金切り声も、雄鯉の叫びに負けず劣らず大きかった。彼女は雄鯉の左手に突き刺さったシャープペンに気付いたのである。真っ直ぐ雄鯉の側に駆け寄ってきた。
「ああ、なんてことを……今消毒しますから座ってください」
「あの、僕やっぱり帰……」
「座りなさい!」
強い口調で歌梨奈に命じられた雄鯉は、無意識に腰を下ろしてしまっていた。歌梨奈もまた跪き、雄鯉の手を取ってシャープペンを抜き取る。
「ごめんなさい……痛みますか?」
「いえ……」
もちろん痩せ我慢だった。シャープペンが抜けたお陰で痛みは多少引いていたが、あくまで多少である。
「消毒、しますね……」
歌梨奈は救急箱から消毒液を出すと、雄鯉の左手に振りかけた。続いて真新しい包帯を取り出し、巻いていく。どういうわけか、本物の看護師のような熟練した手つきだった。その見事さに、雄鯉は不覚にも心を奪われてしまう。
「次は、お顔ですね」
「はい……」
歌梨奈の物腰は、打って変わって慈愛に溢れたものになっている。いつの間にか雄鯉は、彼女に治療されることに抵抗を覚えなくなっていた。
「…………」
素直に顔の傷を消毒してもらい、薬を塗ったり絆創膏を貼ったりしてもらう。終わったとき雄鯉は、歌梨奈に「すみません……」とまで言った。
「いいんですよ。私が手当てしてあげたいだけなんですから。次はお体ですね。お洋服、失礼しますよ」
手を伸ばし、雄鯉のカッターシャツのボタンを外そうとする歌梨奈。しかし雄鯉としては、さすがにそこまで甘えるわけには行かないと思った。せめて服ぐらいは自分で脱ぐべきだろう。
「あの……脱がせなくていいです」
「私の前で、脱ぐのは嫌ですか?」
「え? いや、そういうことじゃ……」
「じゃあ、私から先に脱ぎますね」
「えっ?」
なんでそうなるの。雄鯉が疑問に思ったときには、歌梨奈はすでに立ち上がりワンピースを脱いでしまっていた。
「ひ……」
薄い紫色のブラジャーとショーツだけを纏った歌梨奈の肢体が、容赦なく雄鯉の目に飛び込む。気恥ずかしさに慌てて眼を逸らすが、すでに脳は映像を認識した後だった。
「あわわわ……」
「これで、どうでしょうか……?」
歌梨奈は両手で雄鯉の頬を挟み、無理やり自分の方を向かせた。
ドン!
雄鯉の視界に、彼女の胸のグランドキャニオンが大映しになる。その迫力に圧倒され、雄鯉は一瞬まともな思考ができなくなった。
「あ、あの……あの……僕は……」
「これも、脱ぎますか……?」
肩紐のない、大きさからしてどう見ても特注のブラ。それをつまみながら歌梨奈が再度訊ねてくる。雄鯉はようやくのことで、
「い、いえ……もう十分です」
と答えた。
「そうですか……」
何故か残念そうにつぶやきながら、歌梨奈は再び雄鯉の服に手をかけ、脱がしにかかった。雄鯉も今度は、黙って彼女にされるままになる。

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