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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 100

行為が終わってそれほど時間も経ってないのだろう、全員裸だった。
天国のような光景ではあるが、どうやらそんな事態ではないようだ。
彼女ら女怪人たちは鈴たちを突き飛ばした自分よりも、外側のほうをしきりに気にしていたからだ。
ただ事ではない様子に、啓太はあわてて気を引き締めた。

「け、啓太さま、お目を覚まされましたか?」
「う・・・うん!それで一体何があったの?」
「啓太さまがお眠りになってから、急に不気味な地鳴りがしたんです」
「何かあったのかと思い、通信能力のある怪人に連絡をお願いしているんですが、一向につながらなくて・・・!」

2人の説明に、啓太はようやく納得した。
アクシデントに対し、彼女らはどうしたらいいのかわからないのだ。
指揮官である夢に聞こうにも連絡が取れないのであれば、下手に動かずに警戒していたほうがいいと判断したのだろう。
緊張の走る中、突如飼育エリアの扉が開いた。
「・・・あなたは!?」

入ってきたのは啓太に噛み付いてDNA登録を済ませた異形の怪人の1人。
しかし鈴が声を上げたのは仲間であったからではない。

ぽた・・・ぽた・・・べしゃっ!

それは何とも不気味な姿であった。
敵の強酸攻撃でも受けたか、濡れている右腕からポタポタと融けた肉片が色のついた雫となってこぼれている。
身体を覆う外皮の一部はすでに右腕を維持することができずに融け落ちている有様だ。
「でっ・・・伝令!
 て・・・敵は最後の攻撃として隠し持っていた強力な溶解液を施設内に大量投入した模様!
 それもただの・・・くぁっ!?」

全て言い終わるより先に右腕の一部が融け落ち、伝令怪人は苦悶の表情を浮かべる。
女怪人たちはすぐさま治療しようと駆けつけるが・・・。

「来るなっ!こっ・・・この溶解液はただの溶解液じゃないっ!
 治療しようと触れたものも、同じように・・・ああぁっ!」

さらに傷口が溶かされたのか、怪人は悲鳴を上げる。

「け、啓太さま・・・!今、施設内はこの特殊な溶解液で満たされつつあります・・・!
 げ・・・現在、夢さまが隔壁を利用して安全地帯を作っております。
 わ、私目がご案内いたしますゆえ、すぐに避難を・・・!」

必死で主人の身を守ろうとする異形の怪人。
それは彼ら怪人たちの存在意義を守ろうとする行為に他ならない。
しかしそんな彼らの生き方を理解できない啓太は、彼らにとって信じられない命令を下した。

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