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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 86

新兵でしかも不殺を命じられているとは言え、彼らは怪人と戦闘員。
多少手こずったが、何とか怪人・戦闘員製造エリア(以下製造エリア)を制圧することに成功した。
しかし制圧してもまだ油断はできない。
制圧できたのは奇襲がうまくいっただけに過ぎないのだから。

「急げ!敵の主力が来る前にまだ開けられていないカプセルを全部開けるんだ!」

夢の命令に情報戦を得意とする怪人や戦闘員は大慌てだ。
またその裏では先に解放した怪人・戦闘員の編隊が行われており、製造エリアは騒然となっていた。
そうしてできたのは完成・未完成を問わない怪人・戦闘員の混成チームである。
中には改造直前の人間のみで編成されたチームもある。
編成を終えた夢は休む間もなく怪人・戦闘員たちに怒鳴りつける。

「いいか!?我々は乱宮啓太さまのために生まれた道具だ!駒だ!
 したがって我々は啓太さまのお望みは全てかなえなければならない!」

その言葉に怪人・戦闘員は同意の雄叫びを上げる。
啓太がこんなことを聞いたら『そんなつもりはない!』とか言って大騒ぎになりそうなものだが。
啓太がいないことをいいことにやりたい放題の夢さまである。

「だが啓太さまは心優しきお方。
 使い捨ての道具でしかない我々だけでなく、敵にまで死んだり傷つくことに、ひどく心を痛めておられる」

すると今度は動揺・驚愕・感激などさまざまな声が上がる。
まぁ、それも無理もあるまい。
彼らの多くは戦うために生まれてきたのだから。

「だがそれが主の望みであるならば、我々はそれに応えなければならない!
 たとえ敵がいかに強大であろうとも、だ!」
怪人・戦闘員の存在意義を強調したことで、連中は先ほどの迷いなどうそのように声を上げる。
存在意義を強調させることで、戦闘型に殺戮をするなという矛盾した命令を深く考えさせないようにしたのだ。
この辺は同じ怪人である夢ならではの扇動であろう。

「よろしい!それではこれより、啓太さまの命令を遂行するための作戦を伝える!
 この作戦が成功した暁には啓太さまが直々にお褒めの言葉をくださるとのことだ!
 全員、啓太さまのご期待を裏切らぬよう、全力をもってこれに応えるように!」

オオォーーーーッ!!!!

その言葉に怪人たちは大いに喜んだ。
人間からすれば『そんな褒美で満足なの!?』『そんなんで喜ぶな!』とか突っ込みたくなるところであるが、まともな人権すらない奴隷のような連中だ。
彼らからすればこれだけでも破格の扱いなのだろう。
何はともあれ、こうして人身売買組織『レフトファン』殲滅作戦、その第2段階の始まりが刻一刻と近づいていた。

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