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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 85


自分を縛った相手が外見麗しい女であること知ったとき、指揮官の男はコマのように高速で回転しながら宙を舞っていた。

「ふむ。思っていたより骨のある連中がいるようだ。
 啓太さまが来るまでにここを制圧できるか・・・?」

吹っ飛ばした指揮官には目もくれず、戦況を見極める女。
それは一足先に敵組織に侵入を果たした夢その人であった。
派手に暴れたために敷かれた警察の包囲網をどうやって突破したのか?
答えは簡単、下水路を通って敵組織の近くまで移動しただけのことである。
今の時代、当然地下も封鎖の対象となっているものの、敵が派手に暴れたおかげで市民を避難させるのに手一杯で、とても地下まで手が回らなかったらしい。
そして啓太たちは楽々ここまでやってこれたというわけである。
ちなみにここで暴れている怪人たちを扇動したのも、夢の仕業であったりする。

「クエエェェェッ!!」
「ぐわっ!?」

鳥頭の怪人の一撃で警備部の人間がまた1人倒される。
鳥頭はとどめを刺そうと鋭い鉤爪を敵に振り下ろそうとする。
しかしそれに一瞬早く気づいた夢が声を上げる。

「待て!敵は行動不能にしろ!我らの主のご命令だ!
 決して殺すんじゃないぞ!?」
「・・・・・・!!」

『我らの主』という言葉に反応して鳥頭は振り下ろそうとする手の動きを止める。
生まれたても同然の彼らの顔に、命令に対する不満はない。
ただ黙々と敵を倒しては行動不能にしていくまでだ。
しかしそんな戦い方をしていれば、中には当然下手を打って反撃される連中もちらほら出て来る。
味方がダメージを負っても夢は動揺せずに命令を下す。

「いいか!危険を感じたら無理せず下がれ!
 主の願いは『敵味方問わず犠牲者ゼロ』だ!
 選ばれた主の尖兵であるならば、見事この命令を遂行してみせよ!」

夢の言葉に怪人や戦闘員たちが奇声を上げて答える。
おそらく了解の意味なのだろうが、どうもそう答えているようには見えない。
(さて、敵が体勢を立て直す前に数だけでもそろえておかねば!)

この場における夢の任務は重要だった。
味方となった怪人のサポート。そして指示。
さらに不殺を掲げる我が陣営を強化するための仲間の確保である。
早く次の段階に進みたい夢は、怪人たちのお守りをしながら次々と敵を撃破していくのだった。

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