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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 84

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それでは舞台を問題のレフトファンの怪人製造場に移そう。
ただ今、この地は戦場さながらの様相を呈していた。
そこかしこから出て来る怪人や戦闘員が手当たり次第に人間に襲いかかってくるのだ。
警備の人間が対応しているが、次から次へと出て来るため、徐々に押されつつあった。

「キキイィィィッ!!」
「ぐぎゃっ!?」
「田川っ!くそぉ、これでも食らえぇッ!」

同僚をやられて激昂した警備部の男は怪人に向けてマシンガンを乱射する。
しかし銃口を向けられたことを察した怪人は、引き金を引かれる瞬間にはすでに姿を消していた。
当たるべき的を失った弾丸は新たなる的を求めて近くにいる味方を牙をむく。

「ぎゃっ!?」
「ぐわっ!?」
「し、しまった!?」

本来なら味方だけでなく敵にも当たってもいいようなものだが、何せ相手は怪人。
動きのすばやいものは動きを止めることなく動き続け、タフさを売りにしている連中は防御を捨てて襲ってくる。
まるで熟練の戦士のような戦い方をしてくるのだ。
これでは人間の戦い方をしている警備部には勝ち目はない。

「くそっ!一体全体どうなってる!?
 部長の指示はまだないのか!?」

指揮官と思われる男が銃を撃ちながら部下に怒鳴りつける。
しかし返ってきたのは『まだありません』という言葉だけ。
この時、指揮官の男は悩んでいた。
逃げ出した怪人どもを全て始末すべきか否かを。
1匹2匹くらいなら殺しても大した問題にならないが、こんな大人数を全て処分したとなると金銭的ダメージも計り知れない。
だからと言って放置もできない。
こんな大事故を世間に知られれば組織の評価はガタ落ちになる。
いや、下手をすれば他の組織との吸収合併、正義の味方による急襲も考えられる。
今、組織は壊滅するかしないかの窮地に立たされていた。
男はその事実を前にしてある決断を下した。

「・・・くそっ!こうなったら止むを得ん!
 奴らを1匹残らず殲滅する!暴走していない調整済み怪人を出せ!」
「そ、そんな!?そんなことをしたら会社が大打撃を受けますよ!?」
「かまわん!全責任は俺が持つ!さっさとバケモノどもを連れて来いッ!!」
「・・・それは困るな。
 そんなことをされては啓太さまにお叱りを受けてしまう」
「なっ・・・にべっ!?」

指揮官の男が振り向いた瞬間、男は糸のようなものにがんじがらめにされていた。

「むぐ・・・!んがご・・・っ!?」
「貴様のような優秀な指揮官がいると作戦が滞る。
 悪いがさっさとご退席願おう」

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