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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 81

「い、いや、私はそのうち回復する。
 それより啓太さまのほうを優先してくれ」

などと言い訳をしていたが、満身創痍では説得力がなく、結局彼女も鈴の母乳を飲まされることとなった。
治療が1段落し、みなが手持ち無沙汰になる頃、空が心配そうに啓太の身を案じた。

「啓太さま、お体の具合はいかがですか?」
「あ、ああ、だいぶよくなったよ」

ありがとう、とは言わない。
強烈な一撃をお見舞いされて、お礼を言うのは違うと思ったからだ。
「でもおまえらが無事でよかったよ。
 正直、あの煙を見たとき、死んだんじゃないかって何回も思った」
「・・・では、ここに来たのは私の作戦を実行する気になったということですね?」
「・・・っ、」

夢の横槍に、啓太は言葉に詰まる。
とても気の進まない作戦ではあるが、でなければ彼女らを見殺しにするばかりか、人身売買組織の犠牲者を放置することになりかねない。
啓太は事ここに至ってようやく決心を固めた。

「・・・ああ」
「ありがとうございます。これで我々の勝利は確定したも同然です」
「でもやりたくないことをさせるんだ、こっちの意見もできる限り通させてもらうぞ!?」
「私たちは啓太さまの所有物。どうぞ何なりとお申し付けください」

その言葉に、啓太はちょっと喜びと悲しみを感じながら、夢にいくつかの要求を突きつけた。
それは啓太の人間として生きるための、最低限のルールであった。
それをまとめると以下のようになる。

1、悪事は絶対にしない。侵略行為などもってのほか。
2、殺人はたとえ敵であっても認めない。
3、怪人や戦闘員は一般人の中でも暮らしていけるようにする。

偽善極まりない申し出だったが、夢たちはそれを受け入れた。
それが守り通せると思っているのか、バレなければ大丈夫と思っているのかまではわからないが・・・。

「それでは参りましょうか、啓太さま」

休憩を終え、ダメージも体力も全快した夢はすっくと立ち上がり、啓太に手を伸ばす。
「・・・約束、忘れんなよ?」
「ご心配なく。私は啓太さまの怪人です。
 そのご命令とあらば喜んで従います♪」
「あら、私たちのことも忘れないでください、啓太さま?」
「私たちだって啓太さまのお付きの怪人なんですから!」

夢の手をつかむより早く、鈴と空が啓太の手を握る。

「・・・おっし!じゃ、作戦開始といきますか!」

そう言う啓太の顔に、迷いや恐れはどこにもなかった。

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