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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 71

フードから飛び出してきた『モノ』・・・。
おそらくオクトラゲソンの頭であろう、赤黒い肉の花が夢の糸によってがんじがらめにされていた。
よほど苦しいのか、しきりに首を振っている。
・・・え?なんで手足を使わないのかって?
読者諸君、コイツの手足が何なのか忘れたのかね?
そう。コイツの手足は無数の触手。
先端に小さな口や突起物が出ているが、糸だけをつかんだり切ったりするのには向いていないのである。
そんなことすれば、赤黒い肉の花がさらに赤く染まることだろう。
頭を縛られたオクトラゲソンはどうしていいのかわからず、ひたすらうなりながら首を振るしかできない。
そんな哀れな怪人に、夢はこれ以上ないほど冷たい視線を送りながら口を開いた。

「・・・啓太さまの所有物である我らを辱め、啓太さまを傷つけたその罪・・・。
 万死に値する」

ドガッ!

「ギョブゥッ!?」

夢はそう言うなり右手を引き抜き、怪人化した足でオクトラゲソンにヤクザキックをぶちかます。
怪人化によって強化された膂力によってオクトラゲソンは頭に糸を巻きつけたまま、部屋の外へと吹き飛ばされる。
そして頃合を見計らって・・・一言。

「死ね」

夢は力任せに左腕を引っ張った。
部屋の向こうで何か『イヤな音』がした次の瞬間、

ドカアァァァンッ!!!!

派手な爆発音が鳴り響き、オクトラゲソンの吹っ飛んだ空間に大輪の花が咲いた。
おそらく、今ので頭をぶつ切りにされた彼の身体が大爆発したのだろう。
やられた怪人が爆発するのはお決まりのパターンにして、最大の謎である。
夢は敵の末路を確認すると、怪人化を解くことなく、そのまま愛しの啓太の元へと急いだ。
「鈴、空。啓太さまのご容態は?」
「外傷はすでに治りました」
「んふっ・・・体内の治療も順調です。
 峠は越えたと思われます」

夢の問いに、鈴・空が簡潔に答える。
何か鈴が色っぽい声を上げたのが気になるが・・・。
2人の答えに、夢は心底ホッとした表情で啓太の寝顔を見つめる。

「よかった・・・。啓太さま・・・」

その顔は怪人を瞬殺した人物とは思えないほど慈愛に満ち溢れていた。
鈴も空も啓太の傷が完治するまでこうして抱きしめていたいと思う。
しかしそんな事態でないことは3人ともわかっている。
夢たちは即座に思考を切り替えた。

「・・・それで夢さま、これからどうなさるのですか?」
「どうもこうもない。
 我らが啓太さまをこのような目に合わせたグズに相応の報いを与えるのみ」
「・・・・・・!!」

その言葉に空が何とも苦しげな顔をする。
それは数多くの仲間を犠牲にしたことへの罪悪感か、古巣へ戻らねばならぬことへ恐怖か。
鈴も顔にこそ出さぬが、きっと思うところがあるに違いない。

「・・・では、啓太さまをここへ置いていかれるのですか?」

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