「フン・・・また触手で攻撃か？
　そうだな、おまえの基本攻撃はその触手なんだからな」
「「！？」」

夢の言葉に、事の成り行きを見守っていた開発部の連中が席を立つ。

「不意を突かれたせいで対処できなかったが・・・。
　アレでしとめられなかった以上、私が負けることはない。
　・・・覚悟しろ。オクトラゲソン」
「・・・っ！？」
「なっ、何なんですか課長！？な、なんで市場にも出回らなかった廃棄怪人の名前を知っているなんてっ！？」

あ、そう言えばコイツら夢が自分たちの組織にハッキングやらかしたこと知らないんだっけ。
・・・ん？じゃあ、夢がオクトラゲソンのことを知っているのも当然なわけで・・・。
と、いうことは、つまり・・・？

「死ネエェェェッ！？」

触手を失い、自分の名前を呼ばれたオクトラゲソンは、その心情を表すかのように触手たちを一斉に攻撃させる。
数に任せた攻撃に、夢は逃げるどころか真正面から突っ込んでいく！

「！？　夢さま、危な・・・！！」

それを見ていた空が思わず声を上げるが時すでに遅し。
触手の先端が夢の肩や腕などをかすめて柔肌を切り裂いていく。
だがどういうわけか、触手の先端の命中率は悪く、カスリ傷をつけるばかりで致命傷を与えることができない。

「ク、アアアァァァッ！？」

攻撃を当てられないことに苛立った怪人が叫んだとき、夢は触手の包囲網を突破していた。
そして勢いを殺すことなく、怪人化した右腕をオクトラゲソンの胴体目がけてたたきつけた！

ドシュッ・・・！
「ガゴッ・・・！？」

すると今度は攻撃が滑ることなく、夢の右手が怪人の胴体を胸から背中へとあっさりと刺し貫く。
怪人とは言え、さすがにこれは効いたらしく、オクトラゲソンは不気味な叫びをあげて血を吐いた。

「ふん・・・やはり廃棄怪人だな。
　自分の武器を生かせないばかりか、こうもやすやすと私を間合いに入れるとは・・・」
「ギ・・・ギギ・・・ギ・・・！！」

オクトラゲソンは激痛に耐えながらも夢の顔をフード越しににらみつける。
「ギガアアアァァァッ！！」
ビリビリビリィッ！

オクトラゲソンは痛みを振り払うように叫んだかと思うと、フードを破りながら頭から何かが飛び出してきた。
しかし夢は動じることなくフードから飛び出してきた何かの前で左手を振る。
すると・・・。

「ギュ・・・グギイイイィィィッ！？」