世界の中心で平和を叫ぶ。 67
「な、何よこれ!」
触手に捕まった夢の発した言葉である。
一緒に鈴も空も捕まっている。
「おのれぇ・・・・・・」
そううめくと、夢は怪人の本性を現して体を変化させ始めた!
怪人化させた右腕を振りかざし、自分たちを拘束する触手を断ち切ろうとする。・・・が。
ぬるん・・・っ!
「!?」
ヌルヌルした粘液が邪魔をしてうまく切れない。
しかし驚いたのは夢ばかりではない。
触手怪人オクトラゲソンの目を通して事の成り行きを見守っていた開発部でも驚きが走っていた。
「なっ・・・!?あ、アレは一体何なんですか、部長!?
身体の一部のみを怪人化できる怪人なんて聞いたことありませんよ!?」
「落ち着きたまえ、白鳥くん。
確かに身体の一部のみを変身させられることは驚きだが。
あの爪が武器である限り、オクトラゲソンには勝てん。
全身を保護する分泌液が刃物や光線の攻撃を防いでくれるからね。
それに、そろそろ効いてくるころだ。
オクトラゲソンの分泌液の効果が、ね・・・」
するとオクトラゲソンに囚われた夢たちの様子に変化が現れ始めた。
「・・・〜くッ!?」
「ひあっ!?」
「な・・・に、これ?!」
次々に囚われの身となった女性たちから声が上がる。
しかしそれは先ほどまでの声とは明らかに違う。
それもそのはず、今囚われている女性たちは途方もない快感に戸惑っているのだ。
「くっ・・・あぁ・・・!!」
「こっ・・・コレ・・・ぇっ!?」
「だ、ダメェっ、き、気持ちいいよぉ・・・!!」
一般人であるマンションの住人たちの一部はすでに快楽に溺れ始めている。
しかし次々と快楽のとりことなる中、夢・空・鈴の3人だけは何とか理性を保っている。
怪人である彼女たちは、それなりの抵抗力がある、ということだろう。
しかし快楽で堕ちていないというだけで、全く平気なわけではない。
「夢、空!?鈴っ!?」
「く・・・ぅっ!夢・・・さまぁっ!?」
「いや・・・ご主人様以外の人・・・にぃ!?」
怪人ズの異変に気づいた主人公、啓太は彼女らを助け出そうと触手を引っぺがそうと試みる。
しかし一般人でしかない啓太が怪人の力にかなうはずもなく。
蟷螂の斧のごときムダな抵抗にしかならなかった。
「くそっ!?なんで外れねえんだよっ、このっ!?
夢ぇ!何とかなんねえのかよ!?」
自分の無力さを呪いつつ、頼みの綱の夢を呼ぶ。