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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 40


「ぐすっ・・・。それでは、契約のキスをお願いします」
「へ?」
「ひっく・・・。夢さんから聞きました。
 それが啓太さまの奴隷になるための作法だと」
「・・・・・・・・・。あ〜い〜つ〜は〜!」

啓太は怒りの形相で憎憎しい『アイツ』の顔を思い出す。
帰ってきたら説教されることは間違いないだろう。
アーメン。

「・・・クシュン!」

啓太が怪人親子に迫られていたその頃。
人身売買組織壊滅の下調べをしていた夢がクシャミをしていた。

「・・・?私(怪人)がクシャミだなんて・・・。
 まだ身体が治りきってないのかしら?」

確かにクシャミをする怪人なんていないだろうが・・・。
もうちょっとかわいげのあること、言ってほしい。

「・・・まあいいわ。さっさと今日のノルマを終わらせましょう」

夢はそう言うと目を閉じて、作業を再開する。
今、夢はいるのは啓太の家から程近いところにある、公園のベンチ。
ここで彼女は組織壊滅の下準備をしていた。
傍目には居眠りをしているだけだが、実際は違う。
髪の毛や指の先から出した極細の糸を電線につなぎ、作戦の下準備を行っているのである。
この糸はセンサーの役目も果たしているので、不審人物などの探査にも一役買っている。
こんな人目につくところで作業しているのは、もちろん愛しのご主人様と新人親子の蜜月のためだ。
自分が家を出てからずいぶん経つ。
今頃、啓太さまはあの親子とよろしくやっているだろう。

(しかしあの親子を拾ったのはラッキーだったな)

作業をしつつ、夢はふとあの親子を拾ったときのことを思い出した。
あの親子に出会ったのはほんの偶然。
自分の能力を知り、高めるための修行中に起こった偶然だった。
怪人のくせにやけに人間くさく、スキだらけだったので、まさか怪人だったとは思わなかったが。
だがそのおかげで自分はあの親子を献上できたし、何より親子の所属していた組織の情報を知ることができた。
これでまた啓太さまに組織の施設や資金、怪人をお贈りすることができる。
そう思うだけで彼女の胸は高鳴り、その喜びに打ち震えるのだった。

(さあ、どんなプランで攻め落とそうかしら?
 圧倒的な戦力差を見せ付けてじわじわと?
 それとも一瞬で潰すやり方のほうがお好みかしら?)

・・・啓太を何だと思ってるか知らないが、まだまだ啓太の気苦労は絶えそうにない。
主人公の宿命とは言え、かわいそうな話だなぁ。

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