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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 37

啓太は大きなため息を1つつくと、自分の気持ちを語り始めた。

「・・・正直言って迷惑ですね」
「・・・!!」

2人から息を呑む声が聞こえる。
1人はやはり、という絶望と悲嘆、もう1人からは怒りと憎悪と軽蔑を込めて。
内心、痛む良心と恨まれる恐怖に耐えながら、啓太は言葉を続ける。

「あなたたちのおかげで、ぼくは悪の組織と戦わなきゃならなくなった。
 ぼくは痛い思いも怖い思いもしたくなかったのに」
「・・・そ、そう・・・ですよね・・・。申し訳ありませんでした」
「お母さん!こんなヤツに謝る必要なんかないよ!」

啓太の言葉に深々と頭を下げるNA−P6931に娘のNA−V5413が声を荒げる。

「・・・だけど」

そこでいったん啓太は言葉を切る。
ここから言う言葉は茨の道。
一歩踏み出したらもう後戻りはできない。
安っぽい正義感やプライドなんかで踏み込むのではない。
自分が、自分であり続けるための、そのための第一歩。
啓太は恐怖に身体を震わせながらも意を決した表情で言葉をつむいだ。
「目の前で助けてほしいって言ってる人を見捨てられるほど、度胸が据わっているわけでもありません」
「・・・・・・!?」
「そ、それじゃあ・・・!?」

親子の両目が驚きのあまり、大きく見開かれる。

「あなたたちの、力に、なります。
 自分には何ができるのかわからないけど。
 それで、いいのなら」
「・・・〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
「お、お母さんっ!」

その言葉に、母親のNA−P6931は涙をポロポロこぼしながら口元を押さえた。
先ほど強烈な軽蔑と怒りを向けていたNA−V5413さえ、その目に涙を浮かべていた。

「あ・・・ありがとうございます!ありがとうございますっ!」
「お、お母さんっ」

言い尽くせない感謝と喜びを伝えようと、泣きながら何度も頭を下げるNA−P6931。
そして泣き笑いを浮かべながらそれを止めようとする娘。
啓太はそんな2人を見て。
重い話を向けられたときのように、恥ずかしそうな、居心地の悪そうな様子で困り果てるのであった。
・・・うむ!漢だね、啓太クン!
そんな男らしさを見せたキミにはステキなプレゼントを贈ってあげよう!
そうして物語は18歳未満禁止の夜へと再び突入するのであった。
「啓太さま。
 私たちのわがまま、お聞き入れくださいまして本当に、本当にありがとうございました」
「いいですって・・・!もう頭も下げなくて結構ですから」

何十回目のお礼を聞かされて、啓太はいささかウンザリしつつもそれを止めた。

「いえ、それでは私たちの気がすみません!」

しかしNA−P6931は頑として聞き入れてくれない。
そこにフォローを入れてくれたのが、娘のNA−V5413だった。

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