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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 33

何とも言えない甘い香りとともに、傷がものすごい勢いでふさがっていくではないか!
1分が経過する頃には傷口は消え失せ、そこには甘い香り漂う赤い血液だけが残された。

「・・・これが彼女たち『家畜型』の新作怪人、『スイーツ・ホルスタイン』の能力です」

右腕を元に戻し終えた夢が、静かにそう言った。

「その血肉は究極の妙薬として機能し、その身体は1級の娼婦のそれを優に超える。
 それが彼女たち『スイーツ・ホルスタイン』と呼ばれる品種です」
啓太は震えながら血に染まった資料を見る。
神をも恐れぬ所業の果てに生み出された存在。
その成果が今、目の前で自分らを恐れるような目つきで・・・そこにいた。
・・・ん?マテマテ。何でそっちが人間を恐れる?

「え?そう言えば・・・なんで?」
「単純な理由です。彼女らは私の主である啓太さまを恐れているのです。
 同時に非力な彼女らにとって、人間は親であり、絶対者ですから逆らうという発想ができないんです」
「あ、そうなんだ」

無害だとわかった瞬間、肩の力を抜く啓太。現金なヤツだ。

「安心するのはまだ早いですよ、啓太さま」
「え?」

ホッとしたのもつかの間、夢が警告する。
「NA−P6931の話では、製造元が量産を考えているそうです。
 放っておけば多大な犠牲を払うことになりますよ?
 まして悪の組織にはいろいろありますからねぇ・・・。
 人さらいだけならまだしも、過激派や新興宗教なんて連中が、ぞろぞろ集まってきますよ?」
「ぐっ・・・」

夢の言葉に啓太が詰まる。
なるほど。夢は自警団を作ることの重大さを伝えるためにNA−P6931親子を保護したというわけか。

(納得しとる場合か!天の声らしく何とかしやがれ!!)

ああソレ?・・・ムリ。

(無理ぃ?)

うん。どー考えても彼女のほうが正しい。
あんまり無茶やらかす気だったら止めようと思ったんだけど、な。

(ちょっ・・・じゃあ、どうしろってんだよ!)

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